公認会計士・税理士熊谷亘泰事務所

令和5年度年末調整|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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2023/11/24

目次

    はじめに

    今年も年末調整の時期が近づきました。毎年何気なく行っている年末調整ですが、年末調整とは何か理解していていますでしょうか?また、年に1回11月~12月の期間のみのため、何をするのか忘れやすいところです。今回は年末調整の復習・再確認ができるよう年末調整とは何か説明し、昨年令和4年度から変更があった点についても取り上げます。
    また、年末調整において必要となる書類についても留意点を取り上げ、人事経理担当者、従業員共にスムーズに年末調整業務が進むような情報を提供いたします。
    場合によっては年末調整だけでなく、確定申告も必要になる方がいらっしゃると思いますが、後日令和5年度確定申告についての記事で解説予定です。

     

    年末調整制度のおさらい

    まず年末調整制度についておさらいします。
    所得税法に明確な定義はありませんが、所得税法第190条によりますと給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者のうち、給与支払時に天引きされた源泉徴収額から年内最後の給与日までに支払われた年間給与総額を基に計算した所得税額との差額を精算する手続とあります。つまり、年間の給与に基づいた所得税計算を勤め先の企業が行い、年内に毎月あるいはボーナスから天引きされた源泉所得税との差額を計算して給与支給時に精算する手続です。
    源泉徴収額が年間の税額以上に天引きされている場合は過大天引きの金額が給与支給と同時に従業員に支払いまたは還付され、逆に源泉徴収額が年間の税額に満たない場合は不足額が追加で天引きまたは請求されます。これにより、他の所得や年末調整で取り込めない控除がない限り、従業員の所得税の徴収が完了します。そのため、会社員に確定申告者の割合が少なくなっている原因になっています。
    年末調整で取り込める所得控除は

    • 社会保険料控除
    • 生命保険料控除
    • 地震保険料控除
    • 小規模企業共済等控除(iDecoが''等''の例です)
    • 控除扶養控除等の人的控除
    • 基礎控除
    • 住宅ローン控除

    で、年末調整前に必要な書類(後ほど詳しく取り上げます)を勤務先に提出することで年末調整計算の際に反映されます。他の所得控除や税額控除を受ける場合は改めて年明けに確定申告をする必要があります。この手続は年間給与支払額が2000万円以下の者が対象とされており、2000万円を超える場合は年末調整が行われず、確定申告が必要になります。
    企業が年末調整をしたとき、対象となった従業員に税額計算書である「給与所得の源泉徴収票」を交付し、翌年の1月31日までに年末調整をした企業は各事業所ごとに所轄する税務署に「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」と「給与所得の源泉徴収票」を提出します。また、同日までに従業員の居住する市区町村に「給与支払報告書」という従業員の住民税計算基礎資料を提出します。なお、税務署や市区町村に提出する書類には年末調整対象外となった者の分も含みます。

     

    令和5年度の主な変更点

    ここでは令和5年度の年末調整から変更になった点について取り上げます。
    所得税法改正に伴う変更が1点あり扶養親族のうち非居住者(日本国内に継続して居住していない者)について扶養控除を受ける場合、従来は対象となる扶養親族の所得が一定金額を超えない限り12月31日現在で16歳以上であれば受けることが可能でしたが、令和5年度からは12月31日現在で30歳以上70歳未満の非居住者である扶養親族については以下のいずれかに該当する者のみ適用可能となります。

    • 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者 
    • 障害者
    • 年末調整対象者本人からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者 

    非居住者である扶養親族について扶養控除を受ける場合、親族関係書類(戸籍謄本や外国政府が発行する証明書など)を年末調整書類提出の際に提示し、年末調整計算時に当該非居住者に対する送金書類を提出する必要がありますが、それらに加えて「留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者」については年末調整書類提出の際に留学ビザ等留学目的で海外にいることを証明する書類の提示が必要となります。また、「生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者 」については年末調整計算時に提出する送金書類で年間38万円以上送金していることを証明する必要があります。
    下記の国税庁ホームページリンクに7か国語対応の説明資料が掲載されています。https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/gaikokugo/02.htm

     

    年末調整の際勤務先に提出する書類

    1. 扶養控除等(異動)申告書
      年末調整を行う従業員はほとんどの方が提出します。記載事項は(源泉対象)配偶者、扶養家族に関する事項で、障がい者や寡婦(寡夫)、ひとり親、勤労学生に該当する家族(本人含む)がいる場合は該当する箇所を記載します。前の項目でも説明しましたが、今年度分から扶養家族のうち非居住者については控除適用対象者が制限されるため、控除適用対象者に該当する要件に当てはまるチェック欄が追加されています。
      この申告書は人的所得控除の適用に必要な書類ですが、特に該当事項がなくても年末調整対象の場合は提出が必要です。また、配偶者の有無や年末調整希望の意思が翌年からの源泉徴収額計算に影響するため、当年度分(確定)と翌年度分(見込)の2年分を提出します。
      なお、年末調整は1か所のみで行うため、複数の勤務先がある場合、最も給与が大きい勤務先に提出すると年末調整時の還付額が大きくなります。
    2. 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
      令和2年度より基礎控除控除額に所得制限が導入されたことにより導入された申告書です。記載事項は年間の総給与額及び他の所得の見込額、配偶者の所得見込額を記載し、特別障がい者(本人含む)や23歳未満の扶養家族がいる場合該当箇所を記載します。この申告書は基礎控除の計算、配偶者(特別)控除の計算、所得金額調整控除の適用に必要な書類で、年末調整を行う従業員は全て提出が必要です。なお、この申告書の提出は今年度1年分のみです。
    3. 保険料控除申告書
      生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等控除、給与天引き対象外の社会保険料の控除を受ける場合に提出する申告書で、それぞれ保険会社などから10月~11月に届く証明書に基づき必要事項を記載し、証明書とともに提出します。保険料の証明書については電子証明書が令和2年度から導入されています。詳細は後述します。
    4. 住宅借入金等特別控除申告書
      住宅借入金等特別控除いわゆる住宅ローン控除を受ける場合に提出する申告書で、適用初年度は税務署による住宅購入や融資の事実確認のため確定申告で手続する必要がありますが、2年目以降は税務署から届く申告書用紙に銀行などから届くローン残高証明書の借入金残高を記入して必要な計算をすれば年末調整時に控除を適用することができます。

       

    国税庁HP 年末調整がよくわかるページ
     

    電子証明書の入手と提出

    令和元年度より従来はハガキなどの書面でしか入手できなかった控除証明書が電子データで入手することができるようになり、各種控除申告書の添付書類として電子データの証明書を使うことが可能です。当所は一部の生命保険会社から発行される生命保険料控除証明書に限られていましたが、行政DX化促進とマイナンバー普及促進のため年々控除証明書電子データが拡大されています。電子データで取得可能な控除証明書は以下の通りです。
    年末調整時に利用可能な控除証明書

    • 生命保険料控除証明書
    • 地震保険料控除証明書
    • 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
    • 小規模企業共済等掛金控除証明書
    • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(住宅金融公庫のみ)
    • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書

    確定申告時のみ利用可能な控除証明書

    • 医療費通知情報
    • 寄附金受領証明書、寄附金控除に関する証明書
    • 有価証券特定口座年間取引報告書公的年金等の源泉徴収票
    • 公的年金等の源泉徴収票

    電子データの入手方法の多くは、マイナポータルにあるe-私書箱の機能を利用し、電子データを受け取る控除証明書の発行事業者を事前登録し、控除証明書の発行時期になるとe-私書箱に電子データが格納されます。格納された電子データをダウンロードしてそのダウンロードしたデータを勤務先に提出することで控除証明書提出となります。
    利用拡大のための課題は、勤務先事業者における控除証明書データの読込可能なソフトの導入状況及び従業員への周知徹底です。こうした課題が解決されるにつれ、年末調整の電子化が進むものと思われます。

    国税庁HP マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧
     

    おわりに

    以上、令和5年度の年末調整に関する情報を事前作業を中心に解説しました。
    政府の行政DX化、ペーパレス化の流れを受けて年末調整の電子化整備も進んでいます。
    電子化に関しては納税者、各企業の認知度向上とシステム対応の進捗にまだまだ時間がかかりそうですが、テレワーク勤務や出張など勤務先に出向けないときでも提出できますし、電子データ化で記載ミスが大幅に減少し人事部門等の事務省力化につながります。年々年末調整の電子化は進むものと思われます。

     

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