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病院代・薬代がかかったら確定申告の検討を!|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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2024/01/26

目次

    はじめに

    年が明け確定申告の時期がやって来ます。個人事業をやっている、ふるさと納税をしたなど様々な理由で確定申告をされるのですが、確定申告をする理由で多いのが医療費控除の適用による還付のためです。それだけ知っている方が多い所得控除なのですが、一方であまり入院や通院をしていない人にとっては制度そのものを知らないという方も多い所得控除です。
    今回は、所得税申告における医療費控除について基本的事項から説明し、実際に申告する時の準備事項や留意点にも触れます。

     

    医療費控除の意義と控除限度

    医療費控除とは、医療費負担による経済的負担に考慮して所得税額計算に当たり支払った医療費を所得から控除する制度です。医療費控除の金額は1月1日から12月31日までの1年間に支出した医療費-10万円(退職所得及び山林所得を含む総所得金額が200万円未満の場合、総所得金額×5%)となっており、年に数回しか通院しなかったり、薬を買うことが少なかったりする場合ですと控除を受けられないことがあります。また、医療費控除の適用上限額は200万円となっています。ここでいう医療費は本人だけでなく扶養に入っているなど同一生計の家族の医療費も含みます(もちろん、同一の医療費について同一生計家族のそれぞれの申告で二重に控除を受けることはできません)。
    控除限度額を踏まえますと医療費控除の適用対象となり得る方は、本人または扶養している家族の中に

    1. 長期間にわたる治療が必要な病気やけがをした方
    2. 自営業や年金のみなどで所得が少ない一方、通院や投薬、介護サービスを受けている方
    3. インプラント治療や矯正治療など保険適用外の歯科治療を受けた方
    4. 妊娠や出産に当たり治療や施術を受けた方

    がいる場合が挙げられます。
    また、自主的な健康改善の取組み促進による医療費節減を目的として、特定一般用医薬品等購入費を支払った場合に健康の保持増進および疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っているときは、1月1日から12月31日までの1年間に支出した特定一般用医薬品等購入費が年間12,000円~88,000円の範囲であれば、上記の医療費控除との選択でセルフメディケーション税制という医療費控除を受けることができます。
    なお、医療費控除の概要については国税庁ホームページ(リンクあり)もご覧ください。

     

    控除対象となる医療費の範囲

    ここでは、控除対象となる医療費の範囲を具体的に挙げます。

    • 通常の医療費控除

      1.医師または歯科医師による診療または治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)
      2.治療または療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)

      3.病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、指定介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設または助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価

      4.あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。)
      5.保健師、看護師、准看護師または特に依頼した人による療養上の世話の対価(この中には、家政婦に病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれますが、所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費になりません。)
      6.助産師による分べんの介助の対価
      7.介護福祉士等による一定の喀痰吸引および経管栄養の対価
      8.介護保険等制度で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
      9.次のような費用で、医師等による診療、治療、施術または分べんの介助を受けるために直接必要なもの

      (1)医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの

      (注1)電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除き、タクシー代は控除の対象には含まれません。

      (注2)自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金などは、控除の対象には含まれません。

      (2)医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯、眼鏡などの購入費用

      (3)身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療等の費用に相当するものや上記(1)・(2)の費用に相当するもの

      (4)傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代(この場合には、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要です。)

      (注)おむつ代についての医療費控除を受けることが2年目以降である場合において、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付するおむつ使用の確認書等を「おむつ使用証明書」に代えることができます。
      10.日本骨髄バンクに支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金

      11.日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金

      12.高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導(一定の積極的支援によるものに限ります。)のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金
      適用範囲が広いので特に質問が多い事項に厳選して適用の可否を申し上げますと、
      1.治療目的での支出はOK、美容目的や健康診断、予防、栄養補給の支出はNG
      2.介護サービスもOK、妊娠出産目的の支出もOK
      3.健康保険や介護保険の適用可否を問わず上記1、2に合致した自己負担額があればOK
      4.通院時の交通費は電車やバスが原則、タクシー代はタクシーでないと行くことができない場所である場合のみOK
      5.医師・薬剤師の処方がなくても治療目的で買った市販薬はOK
      参考:国税庁HP No.1122 医療費控除の対象となる医療費

    • セルフメディケーション税制
      (1)次の医薬品のうち、医療用薬剤との代替性が特に高いものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定めるもの
      イ その製造販売の承認の申請に際して既に承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なる医薬品

      ロ その製造販売の承認の申請に際してイの医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められる医薬品

      (2)その製造販売の承認の申請に際して(1)の医薬品と同種の効能または効果を有すると認められる医薬品のうち、その使用による医療保険療養給付費の適正化の効果が著しく高いと認められるものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定めるもの
      もう少しかみ砕いて説明しますと、市販薬のうち医療用薬剤と代替もしくは同様の効果のあるものを購入した場合に適用可能であり、セルフメディケーション税制対象の医薬品は厚労省HP(リンクあり)に列挙されています。また、多くの対象商品に「セルフメディケーション税控除対象」のマークがついています。
      参考:国税庁HP No.1132 セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費


       

    医療費控除を受けるための書類

    医療費控除の対象となる医療費の範囲をお話ししましたが、確定申告の際に何をすれば医療費控除受けられるのか疑問に思っている方も多いと思います。ここでは、医療費控除を確定申告で受ける際に準備すべきことをお話しします。
    まず、1年間の医療費控除の対象となる支出を集計する必要があります。集計は病院やクリニック、薬局などから
    発行される領収書からエクセルや家計簿などで一覧表を作成しておきます。一覧表には

    1. 医療等を受けた人の氏名
    2. 支出先の病院、介護施設、薬局などの名称
    3. 支出の内容(診療・治療費、介護サービス代、医薬品代、自宅から病院や介護施設との交通費などその他医療費支出の4つ)
    4. 支出した医療費の金額(健康保険や介護保険負担額控除後の実際の負担額)
    5. 4.のうち生命保険や高額医療費支給などで補填された金額

    の5つを記載しておくとスムーズです。
    その後、確定申告の際には医療費控除の明細書【内訳書】(またはセルフメディケーション税制の明細書)という添付資料に先ほど集計した支出額を記載して医療費控除額を算定します。医療費控除の明細書【内訳書】に1つ1つ支出を買い手も構いませんし、数が多い場合は作成した一覧表や領収書を別途保存しておき氏名別、医療機関別などにしてまとめて記載することも可能です。また、国保などに加入している場合に届く医療費の一覧表のハガキをお持ちの場合は医療費一覧表にかかれている自己負担額の合計額を記載する欄がありますので保険診療や保険処方の多い方は医療費一覧のハガキを使うと便利です。
    なお、令和元年度までの確定申告では医療費の領収書そのものを確定申告の添付書類として提出することが可能でしたが、令和2年度以降は領収書そのものは5年間ご自宅などで保管し上記の明細書を添付する形になっていますので誤って領収書を税務署に申告書と一緒に提出しないようご注意ください。

     

    保険金などを受取ったときはご注意

    医療費控除を受ける際に大きな落とし穴になるのがいわゆる医療保険金(生命保険、損害保険共に)や健康保険の高額療養費制度です。前の項目の確定申告準備のところでも触れていますが、生命保険や高額医療費支給などで補填された金額は医療費控除の際控除対象額から差引されます。つまり、医療費負担に関して実費補填と節税の二重取りはできないのです。
    医療保険金や高額医療費支給を受けるケースは多くの場合入院や手術があったときですので、特に入院や手術のために医療費控除を受けようとする方は医療保険金や高額医療費の受取りがないか通知書や預金通帳などをよく確認したうえで確定申告の準備をしてください。
    なお、実際の入院代や手術代よりも多く医療保険金などを受取るケースもありますが、医療保険金や健康保険が出た分についてはそもそも所得税及び住民税が非課税となっていますので、実費負担額を超える保険金について追加で課税されることはありません。

     

    おわりに

    今回は確定申告をするケースで多い医療費控除の適用についてお話ししました。ここで医療費控除の対象になる治療に当たるかどうかについて特に質問の多い事項をお話しします。私は以前歯科矯正をしたことがあり1年間に40万円ほどの治療費を2年にわたり負担したことがあります。歯科矯正は歯並びをそろえることで見た目がよくなる効果があるため治療ではなく審美(美容)目的で受ける人もいます。そこで、医療費控除を適用するに当たり担当の矯正歯科の先生が噛み合わせ改善のための治療目的である旨の説明書を発行してくださり強制し課題を医療費控除の対象にしました。
    矯正歯科もそうですが、ニキビやシミなど肌の施術についても病気やけがの改善を伴うものですと治療行為となり医療費控除が認められる場合があります。税務当局に必ずしも認められるとは限りませんが、見た目の改善を目的とした治療や施術については病気やけがの治療を兼ねているかどうか担当の医師や歯科医師に相談し可能であれば医療費控除の対象になる見解についての文書を頂くと良いでしょう。

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