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【令和6年4月リライト】住宅に関する税金の特例を押さえよう!|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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住宅に関する税金の特例を押さえよう!|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

住宅に関する税金の特例を押さえよう!|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

2024/04/05

目次

    はじめに

    家族が増えマイホームやマンション購入を検討する方がいらっしゃるのではないでしょうか。また、住環境改善のためのリフォームや資産活用のため民泊への転用などをご検討の方もいらっしゃるのではないでしょうか。その一方、空き家となった元実家の処分に困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。このように住宅に関しては人生の一大イベントとなり、金額も多額です。また、お金や財産が大きく動くため多くの税金がかかります。
    住宅の売買を促進すると共に住宅に関する税金が家計の大きな負担にならないよう、住宅税制にはいくつもの特例や優遇措置があります。その一方、特例や優遇措置は悪用されることがないよう要件や必要書類が多く規定されています。今回は住宅税制に関する特例や優遇措置についてご紹介すると共に、適用を受けるために必要な事項を解説致します。また、令和6年度税制改正では住宅に関する税制において改正事項がありますのであわせて取り上げます。

     

    住宅ローン控除を受けるための留意点

    一戸建てやマンションを購入したときによく利用される税制が所得税における住宅ローン控除です。住宅ローン控除はマイホームやマンションなどの家屋(家屋の建つ敷地も含みます)の購入のために借り入れたローンの残高の一定割合について数年にわたり所得税から控除する制度です。
    この制度はその時々の国内情勢や景気動向に左右されやすく、頻繁に改正が行われています。令和4年度以降取得分については、控除割合が取得額の0.7%、控除適用可能期間が13年となっています。これまで控除割合が1%だったものが、長期の低金利でローン利息と比較し税額控除が過大であるとの指摘を踏まえて引き下げられたものです。また、控除可能な期間は長年最長10年とされたものが、令和元年(2019年)10月の消費税率引き上げに伴う住宅需要減防止に続きコロナ禍による資金繰り支援のため、最長13年に延長されたものです。このように改正が頻繁であることから住宅購入を検討される際は、最新の住宅ローン控除の内容をご確認いただくことをお勧めします。なお、令和6年度税制改正においては住宅ローン控除に関する大きな改正がありました。
    また住宅ローン控除適用を受けるためにはいくつか要件がありますので、見逃して適用できない事態にならないよう注意が必要です。

    1. 新築または取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
      →つまり、投資目的や転売目的の新築や取得は対象外になります
    2. 新築または取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上(※)であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。
      →つまり、床面積の半分以上が賃貸用または事業所用の場合には対象外となります
    3. この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下(※)であること。

    ※特例特別特例取得の場合の上記2.の床面積および上記3.の所得要件は、その住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満で、かつ、合計所得金額が1,000万円以下となります。

    10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築または取得のための一定の借入金または債務(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます。)があること。

    新築または取得した家屋をその居住の用に供した個人が次の期間において、その新築または取得をした家屋およびその敷地の用に供している土地等以外の資産(それまでに住んでいた家屋など)について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。

      イ 令和2年(2020年)4月1日以後に譲渡した場合
       その居住の用に供した年とその前2年・後3年の計6年間
      ロ 令和2年(2020年)3月31日以前に譲渡した場合
       その居住の用に供した年とその前後2年ずつの計5年間
    住宅を新築または取得した年度は給与しか所得がない場合でも住宅ローン控除を受ける場合は確定申告が必要となります。その年の確定申告の際、

    1. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
    2. 家屋の登記事項証明書、工事請負契約書の写し、売買契約書の写し等家屋の取得年月日、取得対価および家屋の床面積が50平方メートル以上であることを明らかにする書類
    3. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(確定申告の際に作成する書類)
    4. (住宅ローンに敷地取得資金を伴う場合)敷地の登記事項証明書、売買契約書の写し等で敷地の取得年月日および取得対価の額を明らかにする書類
    5. (住宅取得補助金や住宅資金贈与を受けた場合)補助金交付決定通知や住宅資金贈与契約書など補助金や贈与があったことを明らかにする書類

    を申告書に添付する必要があります。取得年度の確定申告を失念すると翌年度以降の住宅ローン控除も受けられませんのでご注意ください。なお、取得翌年度以降給与所得がある方は借入金の年末残高等証明書を年末調整の際勤務先に提出することで控除を受けることができます。
    この他、住宅に関する所得税額控除については特定の住宅の新築に関して受けられる制度がありますので、次の項目で取り上げます。
    参考:国税庁HP No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)

     

    住宅ローン控除を受けるための留意点

    住宅に関する所得控除は住宅の取得や改修を後押しするための制度ですが、特に性能が優良であったり、住環境改善につながるものであったりする場合は住宅ローン控除よりも優遇された税額控除制度が設けられています。令和6年度内に実施された新築や取得、改修に関する控除制度は以下の通りです。

    1. 認定住宅(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅) 
      控除額計算は住宅ローン控除と同じ 
      借入限度額4500万円(子育て世帯・若者夫婦世帯:5000万円) ローン年末残高控除率0.7% 適用期間13年
    2. ZEH水準省エネ住宅(ゼロエネルギー住宅) 
      控除額計算は住宅ローン控除と同じ  
      借入限度額3500万円(子育て世帯・若者夫婦世帯:4500万円) ローン年末残高控除率0.7% 適用期間13年
    3. 省エネ基準適合住宅 
      控除額計算は住宅ローン控除と同じ 
      借入限度額3000万円(子育て世帯・若者夫婦世帯:4000万円) ローン年末残高控除率0.7% 適用期間13年
    4. 耐震改修工事 
      工事実施年度に工事費用(最大限度額250万円)の10%を税額控除
    5. バリアフリー改修工事 
      工事実施年度に工事費用(最大限度額200万円)の10%を税額控除
    6. 省エネ改修工事 
      工事実施年度に工事費用(最大限度額250万円※)の10%を税額控除
    7. 三世代同居改修工事 
      工事実施年度に工事費用(最大限度額250万円)の10%を税額控除
    8. 子育て改修工事
      工事実施年度に工事費用(最大限度額250万円)の10%を税額控除
    9. 4.耐震改修工事または6.省エネ改修工事のいずれか1つの工事と同時に行う耐久性向上改修工事 
      工事実施年度に工事費用(最大限度額250万円※)の10%を税額控除
    10. 4.耐震改修工事または6.省エネ改修工事の2つの工事と同時に行う耐久性向上改修工事 
      工事実施年度に工事費用(最大限度額500万円※)の10%を税額控除

    ※ 省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合100万円の限度額引上げがあります
     

    令和6年度税制改正では住宅ローン控除について限度額の引き下げが行われている一方、子育て世代や若い世代の住環境改善を促進するため、

    1. 上記に登場する「子育て世帯・若者夫婦世帯」(19歳未満の子供がいる世帯と夫婦いずれかが40歳未満の世帯)に対しては控除限度額を改正前の水準に維持
    2. 子育てリフォーム費用を税額控除の対象に追加

    する改正があります。

    1.~3.の制度を受ける場合確定申告の際先述の住宅ローン控除を受ける場合に必要な書類に加えて、建築業者や分譲業者が家屋がある市町村の認定を所轄する行政庁から認定を受けたことを示す認定通知書の写し、及び家屋証明書または建築証明書が必要になります。
    一方、4.~10.の制度の適用を受ける場合確定申告において提出が必要な書類は以下の通りです。

    1. 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書(確定申告の際に作成する書類)
    2. 工事証明書
    3. 家屋の登記事項証明書など家屋の床面積が50平方メートル以上であることを明らかにする書類
    4. (バリアフリー改修工事の場合)介護保険被保険者証の写し
    5. (改修工事に関する補助金を受けている場合)交付決定通知書など補助金を受けていることを明らかにする書類
    6. 上記に掲げた必要書類のうち、4.介護保険被保険者証の写しについては税額控除の適用が受けられる以下のいずれかに該当することを明らかにするために提出します。
    7. 50歳以上の人
    8. 介護保険法に規定する要介護または要支援の認定を受けている人
    9. 所得税法上の障害者である人
    10. 高齢者等(65歳以上の人または上記(ロ)もしくは(ハ)に該当する人をいいます)である親族と同居を常況としている人


    上記の住宅の新築や購入、改修工事を検討する場合、確定申告準備に当たり特に留意していただきたい書類は認定書及び工事証明書です。いずれも建築業者や分譲業者から受け取る書類であり、業者の手続漏れや遅延、書類記載事項の不備で結果として確定申告に間に合わず適用を受けられなかったというトラブルが発生しています。住宅の新築や購入、改修工事を検討される際は業務の事務対応が円滑かどうかを検討事項に含めて業者選定頂くことが確定申告時のまさかのトラブルを防ぐことになります。

    参考:国税庁HP No.1221 認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)
    参考:国税庁HP No.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)

     

    不動産取得税について

    住宅など土地や建物を取得すると取得価額の4%の不動産取得税が課税されます。一方、住宅新築の場合家計と比較し取得価額が多額になることから、取得価額から1200万円を控除した金額に対して3%の不動産取得税が課税される軽減特例があります。また、新築した住宅の敷地の取得についても取得価額から床面積の2倍(最大200㎡)に相当する土地の価格(最低150万円)を控除した金額に対して3%に軽減されます。
    既存の中古住宅のうち、耐震基準に適合した住宅を所得した場合も住宅部分の取得価額から新築年度における新築控除額を控除した金額に対して3%の不動産取得税が課税される軽減特例があります。これらの措置は都道府県からの納税額通知時に自動的に適用されているわけではなく、納税額通知到着後以下の書類を都道府県税事務所に提出して適用申請する必要があります。

    1. 不動産取得税減額申請書兼還付申請書
    2. 土地を取得した日を証する書類(売買契約書の写し及び売買代金の領収書の写し、贈与契約書の写しなど)
    3. 住宅の新築日及び延べ床面積を証する書類(住宅の登記事項証明書、住宅の表題登記の登記申請書の写し、建築基準法に基づく検査済証の写しなど)
    4. 土地を新たに取得して住宅を新築した場合、土地の所有権の移転を証する書類(売買契約書の写し及び売買代金の領収書の写し、贈与契約書の写しなど又は登記名義変更後の土地の登記事項証明書)
    5. 新築した住宅が併用住宅(店舗兼住宅など)及び共同住宅(アパートなど)の場合、各階平面図の写し
    6. 不動産取得税納税通知書兼領収証書

    なお、不動産取得税は住宅ローン減税や固定資産税とは課税主体が異なる(住宅ローン減税は国、固定資産税は市町村、不動産取得税は都道府県)ため、確定申告とは別に申請が必要ですし、税務署や市区町村の役所・役場の窓口では非対応ですので合わせて注意が必要です。
    なお、固定資産税についても特例があり、新築住宅のうち一戸建は新築年度から3年間、マンション等集合住宅は新築年度から5年間課税額が2分の1に軽減されます。さらに認定長期優良住宅の場合2年間延長され、一戸建は新築年度から5年間、マンション等集合住宅は新築年度から7年間軽減税額の2分の1に軽減されます。
    なお、認定長期優良住宅に関する固定資産税軽減特例を受ける場合、不動産取得税とは異なり別途申請の必要なく、確定申告時に認定長期優良住宅に関する住宅ローン控除の適用手続さえすれば自動的に適用されます。

     

    配偶者へ住宅を生前贈与する際の特別控除の留意点

    夫婦で暮らす住宅や敷地の所有者については個別の事情により夫婦共有であったり、夫または妻いずれか一方の所有であったりします。居住から数年たつと主に相続対策のため、所有名義を変更するケースがあります。このように不動産の所有者が移転する場合、夫婦間の贈与となり贈与税の課税対象となります。贈与税が課税されると同一生計である場合に同一生計親族内での移動であるにも関わらず財産が減少することになります。
    そこで、夫婦間で居住用不動産を贈与する場合は贈与財産からの基礎控除100万円に加え最大2000万円の控除があります。ここでの留意点は居住用不動産の課税価額です。課税価額は贈与時の時価とされ、実務上居住している家屋の評価は贈与した年の固定資産税評価額、敷地の評価は同じく贈与した年の路線価や固定資産税評価額かに一定倍率をかけたものとなります。そのため、住宅贈与を検討する場合は評価額がどのくらいになるのかあらかじめ見積もりを依頼するとよいでしょう。
    この2000万円の控除は婚姻期間が20年以上である必要があり、例えば初婚後10年で一度離婚し、5年後に同じ夫婦で再婚して再婚後5年で贈与が行われた場合、婚姻期間は初婚から計算する一方離婚期間は婚姻期間から除外して計算するため、婚姻期間は15年となり、2000万円の控除は受けることができません。また、受贈者が贈与後翌年3月15日の確定申告期限時に現に対象となった住宅に居住しその後も引き続き住宅に居住する必要があります。売却や解体、賃貸や事業用への転用の予定がある場合はもちろんのこと、介護施設などへの入所を予定されている場合も適用されない可能性がありますので留意が必要です。
    さらにこの2000万円の配偶者控除は同じ配偶者からは一生に一度しか受けることができず、例えば一度夫から妻名義に変更し、その後再度妻から夫に名義を変更した場合2度目以降の名義変更時には受けることができません。

     

    なお、居住用不動産の2000万円の配偶者控除は不動産そのものの贈与だけでなく、夫婦間で一旦金銭を贈与し受取った配偶者がその金銭で居住用不動産を購入する場合にも金銭の贈与に関して適用されます。

    参考:国税庁HP No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

     

    空き家特例の留意点

    近年特に都市部を中心に所在者不明となった空き家が増加し、地域環境の悪化や都市開発の妨げになっていることが問題になっています。これ以上所在不明の空き家が増加しないよう、相続登記失念に対する罰則強化や国庫帰属制度など様々な法改正が行われていますが、税制面でも空き家対策につながる制度が設けられています。その代表的な制度が被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例です。
    いわゆる空き家特例と言われているこの制度は相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年(2016年)4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの間に売った場合、下記の要件に当てはまるときは、所得税における所得のうち譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる制度です。
    イ 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたこと
    ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと
    ハ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
    なお、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、別施設での介護や支援の必要性から相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは、その居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた家屋は被相続人居住用家屋に該当します。
    空き家特例の適用における留意点は以下の通りです。

    1. 空き家を残したまま当該空き家及び敷地を譲渡する場合、相続(遺贈)から譲渡時までの間事業や貸付、居住の用に供されていたことがなく、譲渡時においてその空き家が一定の耐震基準を満たすことが必要であること
      →ただし、令和5年度税制改正により令和6年(2024年)1月1日以降の空き家譲渡については売買契約に基づき譲渡後に耐震工事を行う場合でも適用可能になりました
    2. 空き家を取り壊して敷地を譲渡する場合、相続(遺贈)から取り壊しまでの間空き家及び敷地が事業や貸付、居住の用に供されていたことがなく、かつ、相続(遺贈)から譲渡までの間当該敷地が別の建物や構築物の用地となったことがないこと
      →つまり、1.及び2.については譲渡されるまでの間何かしらの利用実態があった場合は空き家特例が適用されないということです。土地や建物の有効活用はある意味良いことですが、空き家特例が使えなくなることには留意が必要です。
    3. 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
      →この要件は空き家の早期処分を促すための要件です。遺産分割協議が長期間続いている場合や空き家内の物品整理に手間取っている場合は特に注意が必要です。
    4. 売却代金が1億円以下であること
      →この要件は分割して売却した場合や他の相続人が売却した場合、それらの売却代金を含めて判定します。共有持分となっている場合や分割して売却する場合は特に注意が必要です。
    5. 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
      →特に空き家の処分が公共事業や土地区画整理事業などの一環で行われる場合は空き家特例よりも特別控除を適用したほうが有利な場合があります
    6. 同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと
      →空き家特例は年をまたいで2回以上適用することはできません。分割して譲渡する場合は同一年内で完結するようにしましょう。

    親子、夫婦、生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などに対して売ったものでないこと
    →経済的実態からみると他者に譲渡していないにもかかわらず形式的に譲渡したことにするいわゆる租税回避行為防止のための要件です。親戚等に譲渡を検討している場合は留意が必要です。

    空き家特例の他にも空き家対策の税制があります。次の項目で取り上げます。

    参考:国税庁HP No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

     

    空き家に関する地方税の留意点

    ここでは空き家に関する税制のうち、地方税に関するものを取り上げます。
    土地や建物に毎年課税される税金として固定資産税があります。地方税法第349条の3の2によりますと、宅地について課税される価格は毎年1月1日における時価を基に算定した課税標準額の3分の1(面積が200㎡以内の部分については6分の1)に軽減されています。一方、空家等対策の推進に関する特別措置法第14条第2項の規定にある特定空家(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態等にある空家)について市町村が所有者に対して必要な改善措置をとるよう勧告を行っても相当期間にわたって放置されている場合には軽減措置から除外され、事実上増税されることになります。
    また、都市計画において市街化区域に指定されている地区にある宅地については都市計画税が課税されますが、宅地について課税される価格は毎年1月1日における時価を基に算定した課税標準額の3分の2(面積が200㎡以内の部分については3分の1)に軽減されています。むろん、固定資産税同様に空き家に関して必要な改善措置が相当期間放置されている場合は軽減措置から除外されます。

     

    おわりに

    今回は住宅に関する税制について適用を受ける場合の留意点をお話しました。
    最後に住宅に関する消費税について簡単に触れます。土地の売買及び賃貸に関しては用途に関係なく消費税がかかりません。一方、住宅の売買に関しては10%の消費税がかかります。なお、住宅の賃貸に関しては居住用である限り消費税はかかりません。
    住宅税制は納税額への影響が大きいため要件や申請手続が厳格になっています。自宅を購入したり、処分したりする際業者から税制に関する説明はあっても、具体的な要件や手続に関しての説明は少ないことが多いでしょう。この記事が少しでも役に立てば幸いです。また、住宅に関する税金に関して不明点がありましたら下の「お問い合わせはこちら」からお気軽にお問い合わせください。

     

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