公認会計士・税理士熊谷亘泰事務所

2024年から相続税・贈与税が変わります|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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2024/01/12

目次

    はじめに

    令和5年度税制改正では相続税法に大きな改正があり、

    1. 相続税の過去贈与に対する持ち戻し課税期間の拡大
    2. 相続時精算課税制度の利便性向上

    の2つが盛り込まれました。これら2つの改正は2024年(令和6年)1月1日以降の生前贈与に対して適用されます。今回は2つの制度について趣旨を説明したうえで、改正された事項を詳しく解説します。特に高額財産を持つ方及び親族の方は今後の生前贈与計画に大きく関わりますので、是非ともご覧ください。
     

    過去贈与の持ち戻し課税

    まず、持ち戻し課税に関して解説します。持ち戻し課税とは被相続人(亡くなった人)の生前に既に贈与により相続人(財産を相続した人)に移転した財産を相続財産とみなして相続税を課税対象とするものです。この制度が設けられている理由は死亡による相続で一度に多額の財産を引き継いだことで相続税が多額になることを未然に防ごうと、小出しに生前贈与をして適用税率が低くすることで中長期的な租税回避を防止するための制度です。
    従来の制度では相続開始前3年間に行われた被相続人から相続人に対して行われた贈与について相続財産とみなして相続税の課税対象としていました。近年長寿命化や生前財産対策の発展により両親や祖父母などが元気なうちに計画的に贈与を進め中長期的な節税を図るケースが増加しています。そこで、2024年(令和6年)1月1日以降の贈与から相続財産に加算する生前贈与を相続開始前7年間に延長し、生前贈与あるいは一括相続いずれを選択したとしてもできる限り納税額に差が生じないようにすることになりました。つまり、2024年(令和6年)1月1日以降の生前贈与からは贈与後7年以内に贈与人が亡くなり相続が開始されると相続税の課税対象にもなるということです。ただし、持ち戻し対象になる贈与財産について一度贈与税を納税した場合は相続税計算時に控除されるため、贈与税と相続税が二重に課税されることはありません。また、2024年(令和6年)1月1日以降の生前贈与について4年~7年後に贈与人が亡くなって相続が開始して相続税の課税財産になった場合は、暦年ごとに110万円の控除があります。
    なお、2023年(令和5年)12月31日以前の生前贈与については今回の改正の対象外となり贈与後3年以内に相続が開始されなければ相続税の課税財産になることはありません。

     

    相続時精算課税制度

    次に相続時精算課税制度について解説します。相続時精算課税制度とは生前に親や曾祖祖父母などから贈与を受けた財産について、贈与税を贈与した親や曾祖父母が亡くなり相続が発生したときにまとめて精算する制度です。贈与のあった都度贈与税を納税する手間及び資金の工面を軽減することで小出しに生前贈与しやすくすることを目的としています。
    従来の制度は贈与を受ける人が贈与があった年の1月1日時点で18歳以上、贈与した人が60歳以上の直系尊属(両親及び曽祖父母)であった場合に適用可能で相続開始時に本制度を適用した贈与額から2500万円を控除した金額に対して一律20%の贈与税がまとめて課税される制度でした。しかしながら、相続時精算課税制度は一度適用するとその後の同じ当事者間の贈与は全て相続時精算課税の対象となる上に1円でも贈与があった年には年明けの確定申告時期に贈与額の申告が必要であったため、煩雑さからあまり普及していませんでした。
    そこで、2024年(令和6年)1月1日以降の贈与において相続時精算課税を適用する場合暦年ごとに110万円の基礎控除が設けられ1年間の贈与金額が基礎控除の範囲内であれば申告が不要になりました。この措置は、2023年(令和5年)以前から既に相続時精算課税制度を適用している場合でも適用されます(ただし、2023年以前の相続時精算課税適用贈与については基礎控除はさかのぼって適用されません)。
    なお、相続時精算課税を適用した場合前項で説明した持ち戻し課税のルールは適用されず、相続時精算課税を適用した全ての贈与について相続税の課税対象となり、1年あたり110万円の基礎控除と2500万円の特別控除を差し引いた贈与額について相続税の課税対象にもなります。もちろん、贈与税として先に精算した金額は控除できます。

     

    おわりに

    今回は2024年(令和6年)から変わる相続税・贈与税の制度についてお話ししました。今回の変更は令和5年度税制改正に伴うものですが、制度見直しについてはそれ以前から議論されていました。背景には資産課税の中立化つまりどの時点で資産を引き継いでも課税額に偏りが生じない公平な課税を実現することがあります。資産課税は毎年発生するわけではなくかつ一度の課税額が大きくなる傾向があり、各種税金の中でも特に節税対策が進んでいる税金の一つです。節税そのものは資産・財産を保全し経済的自由を守る意味で大切なことです。しかしながら、過度に税金を減らすことは債務負担増加と公共サービス低下の形で跳ね返ってきます。
    税制はほぼ公平な課税か政策推進のいずれかの観点で改正されます。今回の相続税・贈与税の制度変更は中長期的な課税の公平と中長期的な計画性のある次世代への財産移転促進の両方の観点から行われたものとご理解いただくとよろしいのではないかと考えます。

     

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