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【2022年12月リライト】インボイス解説シリーズ⑥|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

インボイス解説シリーズ⑥|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

2022/12/09

目次

    はじめに

    令和5年(2023年)10月1日より開始される適格請求書(インボイス)に関して、個別具体的な論点を解説していきます。
    インボイス解説シリーズ5回目~8回目の4回で、インボイス制度に関する細かい論点・疑問点を国税庁Q&Aに載っているものの中から解説していきます。今回はは2回目です。
    1回目~4回目の4回でインボイス制度に関してほとんどの事業者に共通する一般的な論点を解説しました。
    第1回 インボイス制度の概要
    第2回 インボイスに必要な事項
    第3回 インボイス制度導入対応とスケジュール
    第4回 インボイス制度導入後の事務と消費税申告
    第5回 国税庁Q&Aの解説その1
    第6回 国税庁Q&Aの解説その2(今回)
    第7回 国税庁Q&Aの解説その3
    第8回 国税庁Q&Aの解説その4
    わかりやすく解説するよう心掛けてはいますが、抽象的な話も多くイメージしにくいかと思います。そこで、今回は実際の業務がどうなるのかイメージしやすくなるよう、細かい論点を取り上げることにしました。
    全ての疑問について触れることは難しいですが、参考になることがあれば幸いです。なお、この記事の内容は令和4年(2022年)11月改訂版Q&Aの内容に基づいています。

     

    JV工事など複数業者で組合を構成する場合インボイスを誰が発行するのか

    大型工事のJVなど複数業者が民法第667条第1項に定める任意組合や投資事業有限責任組合(LPS)、有限責任組合(LPP)を構成して事業やプロジェクトを行う場合、これらの組合自体は法人格を有しないため適格請求書発行事業者登録が出来ず、組合名義でインボイスを発行・交付することができません。しかしながら組合構成員が個別にインボイスを作成・交付すると事務負担が煩雑になります。
    そこで、組合構成員全員が適格請求書発行事業者であり、かつ、その旨を記載した届出書を所轄の税務署に提出すれば、組合構成員のうちいずれか1事業者の名義と登録番号で一括してインボイスを発行・交付することができます((新)消費税法57条の6第1項、(新)消費税法施行令70条の14 第1項、第2項)。この場合他の組合構成員は発行されたインボイスの写しを保存します。 ただし、その後組合構成員の追加加入や脱退があったときはその都度変更に関する届出書を税務署に提出しないと、構成員変動以後各構成員が自らの割合部分について個別にインボイスを発行・交付することになりますのでご注意ください。
    なお、組合が行った課税仕入のインボイス保存については、幹事企業が受取ったインボイス原本を保存し、他の構成員に受取ったインボイスの写しに出資割合と割合に応じた負担額を手書きしたものを交付すれば差し支えないものとされています。コピーが煩雑な場合、幹事企業が他の構成員に出資割合に応じたインボイス適格の精算書を発行・交付して差し支えないとされてます(インボイス通達4-2)。
    (参考:インボイスQ&A Q43,Q65,Q83)

     

    中古品を買い取る場合のインボイスの要否

    仕入は事業者からだけではありません。消費者から仕入れる商売もあります。その典型的な商売が中古車販売、古本屋、リサイクルショップなどの古物商です。インボイスは事業者しか発行・交付することができないため、一般消費者から買取るときインボイス交付を客に求めることはできません。
    では、一般消費者からの買取では仕入税額控除が受けられないのでしょうか。いいえ、取引日や支払先、金額を会計帳簿に記録し保存すれば仕入税額控除を受けることが出来ます((新)消費税法第30条第7項、(新)消費税法施行令第49条第1項第1号ハ(1))。また、この特例は質屋の質物引取り、宅建業者の中古建物購入、リサイクル業者の資源引取りにも適用されます((新)消費税法施行令第49条第1項第1号ハ(2)~(4))。
    なお、買取の相手先が適格請求書発行事業者である場合は、インボイスの交付を受け保存する必要がありますのでご注意ください。
    (参考:令和3年7月改定版インボイスQ&A Q94)

     

    紙面と電子データの組み合わせでもインボイスとして認められるか

    第4回目で解説したとおり、インボイス保存要件は必ずしも1種類の書類だけで完結させる必要はなく、例えば納品書と請求書の組み合わせなど複数種類の書類でインボイスの保存要件を満たしても問題ありません。
    例えば、数量と税額が記載された出荷案内書がEDI(電子データ交換)を通してオンラインでやり取りされる一方、登録番号と出荷No.ごとの金額合計が記載された月次の請求書は紙で郵送されるように紙と電子データが混在する場合でも組み合わせでインボイスとして有効とされます。なお、電子データのインボイス保存については特に注意が必要な点があり、詳細は第8回目で解説します。
    (参考:インボイスQ&A Q78)

     

    仕入先や従業員が経費を立替えた場合宛名が立替えた人の名前でよいのか

    事業者によっては一旦仕入先や従業員に経費を立替えてもらう場合があります。立替経費について経費の支払先から仕入先などに交付されたインボイスの保存をもって仕入税額控除が受けられるのでしょうか?
    いいえ、直接取引していない事業者が仕入先などに交付した交付するインボイスでは仕入控除することができません。立替えられた経費について仕入税額控除を受けるためには、

    1. 立替経費を支払ったときに支払先から交付されたインボイスを立替えた者が発行したインボイス適格の立替金精算書に添付
    2. 立替経費支払先の交付したインボイスに、立替対象取引が立替を受ける事業者向けであることを明記

    のいずれかが必要です。
    このうち、2.の方法は立替経費支払先が適格請求書発行事業者登録さえしていれば、立替えた者が未登録でも適用可能です。立替経費が電車の運賃など元々領収書等の証憑が発行されない経費の場合はインボイス及び立替金精算書の保存は不要です。
    なお、インボイス保管と共に仕入消費税控除の要件となる発行業者の帳簿記載のうち、立替経費分については立替経費支払先の名称を記載することになり記帳の都度立替払い先の情報を把握する必要がありますが、事業者と仕入先などとの間でインボイス交付の都度立替先業者の名称及び登録番号のやり取りをする必要はなく、事前文書や契約書などで立替先の業者名及び登録番号、立替払いの内容についてあらかじめやり取りしていれば問題ありません。

    (参考:インボイスQ&A Q84)
     

    出張経費や通勤手当など従業員に支払う経費の場合どうするか

    従業員に支払う出張旅費や通勤手当は、前述の立替実費精算の他旅費規程で定額精算となる場合があります。この場合、従業員は通常適格請求書発行事業者でないため従業員が作成する出張報告書や旅費精算書はインボイスとして認められません。そこで、出張旅費や通勤手当は所得税法上給与所得対象外となる旅費(所得税法第9条第1項第4号、所得税基本通達9-3)、つまり行先や日数、職務内容から見て通常必要の範囲内であれば、インボイスがなくても取引日、支払先、金額を会計帳簿に記録し保存すれば仕入税額控除を受けることができます。 なお、通勤手当についてはもともと従業員から受取る書類がないため、通勤手当が所得税法上給与所得非課税額を超えても取引日、支払先、金額を会計帳簿に記録し保存すれば仕入税額控除を受けることができます。
    (参考:インボイスQ&A Q95,Q96)

     

    領収書や請求書が発行されない口座振替や振込の場合どうしたらいいのか

    経費の口座振替や振込の中には、領収書や請求書が発行されない取引があります。当事務所における月次顧問報酬も原則請求書不交付の口座振替でのお支払いです。では、この場合どのようにインボイスの要件を満たせばよいのでしょうか?
    インボイス保存要件は必ずしも1種類の書類だけで完結させる必要はなく、例えば納品書と請求書の組み合わせなど複数種類の書類でインボイスの保存要件を満たしても問題ないことは先述の通りです。
    支払の都度領収書や請求書が交付されない場合でも契約書にインボイス適格要件となる事項の記載があれば、支払日と支払金額の記録として例えば通帳や振込明細書を保存することにより仕入税額控除を受けることができます。
    2023年(令和5年)10月のインボイス制度開始以前に契約済の場合、インボイス対応のためだけに改めて契約更新して契約書を再交付する必要はなく、登録番号等不足事項を補足する通知文書の交付を受け、元の契約書とともに保存すれば問題ありません。
    なお、請求書等が都度発行されない取引を行う相手先が取引の途中で適格請求書発行事業者でなくなり、仕入税額控除を受けることができなくなる可能性もありますので、必要に応じて適格請求書発行事業者公表サイトで相手先の登録状況を確認いただくことをお勧めします。
    (参考:インボイスQ&A Q85)

     

    月次決算までに金額が確定しない取引の場合どうするか

    経費の中には、水道代や電気代など検針が必要なため金額の確定に時間がかかり、検針等を実施した日が決算日と一致しないケースもあります。この場合、決算日までの期間に対応する経費の確定額がインボイスでは判明しません。そのため、このような経費について仕入税額控除を受ける場合以下の通り対応します。

    1. 見積額の記載されたインボイスの交付を受けた場合、当該インボイスに記載された見積額をもって仕入税額控除を受け、金額確定時に確定額が記載されたインボイスを受領し、確定額と見積額との差異を修正する
    2. 確定額が記載されたインボイスを金額確定時に受領し保存することを条件に、合理的に算定した決算日までの期間における経費見積額をもって仕入税額控除を受ける

    なお、上記の対応が可能な取引として水道や電気など光熱費の他、機械等の保守点検や弁護士との顧問契約など契約に基づき継続的に取引が行われ、決算日後金額が確定するとインボイスが交付される可能性が高い取引にも適用可能です。
    (参考:インボイスQ&A Q86)

     

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