公認会計士・税理士熊谷亘泰事務所

事業承継シリーズ3 事業承継・M&Aのプロセス|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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2022/04/16

目次

    はじめに

    今回は事業承継及びM&Aを進めるにあたっての流れがざっとわかるお話をします。これからお話します流れを踏み外しますと事業承継またはM&Aが実現しても売手や買手が大きな損をしたり、実施後の経営、事業、社内でのトラブルを招いたりする結果になります。できれば飛ばさずに上から順番にお読みいただきたく存じます。

    売手のプロセス①現状分析

    事業承継やM&Aを検討する場合にまず行うべきことは自社の現状分析です。現状分析は事業承継やM&Aありきで行うこともありますが、結果として現状維持または廃業が最良の解決策になることもあります。現状分析の手法や見方はいくつかありますが、少なくとも事業の状況及び近年の業績は検討する必要があります。現状分析は自社で行うこともできますが、外部の視点や専門的な視点を取り入れるためにコンサルタントや士業に依頼することもあります。
     

    売手のプロセス②相手先の選定

    現状分析の結果、いずれは事業承継またはM&Aを行うことが適切と判断した場合、承継先候補を探すことになります。前回の記事事業承継シリーズ2でお話したM&Aの手法を先に検討することもありますが、事業承継やM&Aは承継先があって初めて成立します。一方、手法は売り手、買い手双方が納得する形にするためにも承継先候補が見つかって交渉をしてからでも遅くありません。相手先の選定は自社にある程度知り合いがいる場合は自社で選定しますが、近年はより候補者を見つけやすくするためM&A仲介会社を利用するケースも多くあります。
     

    買手のプロセス①買収の検討

    M&Aは売る側の意向で動くだけではありません。事業拡大や事業多角化のために別の企業を買収したいという意向から話が動くことがあります。買収のためにM&Aを利用する場合も売手と同様、まず事業拡大や多角化を検討するにあたり企業の現状分析を行うことで最適な行動につながります。検討事項は主に既存資源の有無及び自社展開の場合とM&Aの場合の比較衡量です。結果としてM&Aが適切と判断すれば次の項目でお話する相手先の選定に続きます。なお、買い手の意向で動く理由は積極的な事業展開だけでなく、相手側である売り手を承継・救済する目的で買い手が主体となって話が進むこともあります。
     

    買手のプロセス②相手先の選定

    買い手が主体となってM&Aを行う場合も、相手先があることで初めて成り立つことは言うまでもないでしょう。買い手主導になる場合、売り手の意向とうまく合えば理想的ですが、一方で買手のほうが売手よりも交渉力が強い傾向があることから売り手の意向に反し買手の一方的な意向でM&Aを行うことになるいわゆる敵対的買収となることがあります。敵対的買収だからといってM&Aが失敗する訳ではありませんが、交渉が長引き実現までの時間や買収コストが増える可能性が高くなります。買い手の場合も相手先を手っ取り早くみつけるため、自社で探すほかM&A仲介会社を利用するケースもあります。
     

    プロセス③買手候補による売手候補の調査(デューディリジェンス)

    売り手候補と買い手候補がマッチングしたら、相手先の状況を理解することになります。婚活のようにお互い相手を理解することになりますが、特にM&Aの場合買い手側がM&A後の経営を主導するため、買い手側がより深く相手先である売り手側を理解し、実際にM&Aを行うかどうか判断する必要があります。この買手による売手の理解をデューディリジェンスと言います。
    デューディリジェンスは、主に事業・経営戦略、組織・人事、法務、財務・税務の視点で調査を行います。専門的な知識が必要な箇所が多いため、多くの場合専門家を依頼して調査を行います。

     

    プロセス④スキーム(方法)の選定と買収価格の算定

    デューディリジェンス後、買い手は法令上の制限、買収による相乗効果の高低、資産価値などを総合しM&Aを実行するかどうか判断し、売り手とも交渉の上買収価格を決定します。
    一方、事業承継の場合承継先は個人であることが多いため、大々的なデューディリジェンスを行うことは少ないですが、承継に当たって双方の話し合いや専門家による簡易調査を行います。そして事業承継に当たっての買収価格を算定します。
    買収価格の選定には専門的な知識が必要なため、ほとんどの場合税理士や公認会計士、不動産鑑定士など資産査定に強い専門家に依頼します。
    事業承継またはM&Aにおける買収価格の決定と同時に、手続きの簡便性や金銭の融通性、デューディリジェンスの結果、双方との交渉結果などを総合的に勘案して事業承継またはM&Aの手法を決定します。具体的な手法の種類については前回の記事事業承継シリーズ2で取り上げています。

     

    プロセス⑤事業承継・M&A計画の策定

    事業承継やM&Aの買収価格決定及び手法決定と同時並行して事業承継後もしくはM&A後の事業計画を買い手(後継者)主体で策定します。事業承継やM&Aは将来の事業継続・発展を行うことが目的であるため、将来計画の策定は欠かせません。計画は向こう数年の財務計画は勿論のこと、経営方針、経営戦略、事業戦略、組織・人事戦略・承継後の再編項目などを織り込みます。計画書は買い手自らの責任で策定しますが、財務計画を中心に専門家を交えて策定することが多いです。
     

    プロセス⑥実行のための承認手続

    事業承継やM&Aは当事者双方で内定していたとしても、オーナーでない株主や債権者にとってオーナーや取締役会の判断だけで勝手に実行されると思わぬ損失を被る可能性があります。そのため、会社法では双方の当事者に株主総会による特別決議で、譲渡制限株式の譲渡承認やM&Aの実行の承認を求めています。この株主総会決議が否決されると、事業承継やM&Aのプロセスは当然振出しに戻り、再検討することになります。
    また、会社法では特にM&Aに関して保護手続が定められており、債権者保護手続の実施義務や決議に反対した株主への自社株式買取請求権を規定しています。
    なお、株式保有割合が90%以上の会社を売り手とするM&Aをする場合に売り手側での決議が不要になる略式組織再編制度、及び、承継対象の資産が買手(もしくは分割元企業)の資産の5分の1未満である場合に買手(もしくは分割元企業)側での株主総会決議が不要になる簡易組織再編制度があります。

     

    プロセス⑦事業承継・M&Aの実行

    双方の当事者での決議で事業承継やM&Aが承認されると実際に事業承継またはM&Aが実行されます。実行に当たっては双方での合意内容を明確に記録するため、契約書を締結するのが望ましいです。
     

    プロセス⑧事業承継・M&A実行後対応(PMI)

    事業承継やM&Aが実行された後、事業計画に従い必要な見直しや統合を行います。もちろん、事業計画に織り込んでいない場合項目について見直しや統合を行うこともあります。事業承継やM&Aは将来の事業継続・発展を行うことが目的であるため、この実行後の見直しや統合の進捗具合が事業承継やM&Aが成功したのか失敗したのかを決めることになります。このプロセスは事業承継やM&Aが無事実行されたことに満足してなおざりになりやすいプロセスですので当初の検討段階からよく意識しておきましょう。
     

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