2026年10月以降のインボイス制度|札幌で税理士・公認会計士に相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!
2026/09/04
目次
はじめに
2023年(令和5年)10月に消費税インボイス制度が開始されて間もなく3年がたちます。2026年(令和8年)3月31日に可決成立した令和8年税制改正法ではインボイス制度についてもいくつかの改正事項があり、2026年10月1日からいくつかある経過措置にも変更があります。今回はインボイス制度の変更まであと1ヶ月となることから変更点を解説します。
適格請求書発行事業者でない者からの仕入等に関する経過措置
2023年(令和5年)10月の消費税インボイス制度開始にあたって、適格請求書に該当しない仕入書類(請求書、領収書、レシート等)だった場合に仕入に関する消費税を控除できないとなると、導入初期の十分にインボイス制度への対応ができていない中では消費税の納税負担が一気に増加することが予想されたため、適格請求書に該当しない仕入書類だったとしても仕入等に含まれる消費税相当額のうち一定割合について当分の間消費税申告の際に控除できる経過措置が設けられました。
2023年(令和5年)10月の消費税インボイス制度開始当初は、
- 2023年(令和5年)10月から2026年(令和8年)9月までの購入:仕入消費税相当額の8割(80%)
- 2026年(令和8年)10月から2029年(令和11年)9月までの購入:仕入消費税相当額の5割(50%)
しかしながら、近年の物価高騰やインボイス制度対応の進捗状況に鑑み、令和8年税制改正で以下の通り経過期間の延長と控除可能割合の引き上げが行われました。
- 2026年(令和8年)10月から2028年(令和10年)9月までの購入:仕入消費税相当額の7割(70%)
- 2028年(令和10年)10月から2030年(令和12年)9月までの購入:仕入消費税相当額の5割(50%)
- 2030年(令和12年)10月から2031年(令和13年)9月までの購入:仕入消費税相当額の3割(30%)
よって、2026年(令和8年)10月1日以降購入した物品やサービスについて適格請求書に該当しない仕入書類を受け取った場合は仕入消費税相当額の7割(70%)を控除できる形に変わります。
この経過措置が適用となる仕入書類は税率ごとの消費税が明確であることが要件となっており、税率ごとの消費税が明確でない場合には消費税の仕入税額控除が適用できませんのでご注意ください。また、仕入書類の対象期間が2026年9月以前と2026年10月以降にまたがる場合は、役務(サービス)の場合提供終了時期である2026年10月以降に合わせて仕入消費税相当額の7割(70%)、物品の購入の場合納品日に合わせて9月以前納品分は仕入消費税相当額の8割(80%)、10月以降納品分は仕入消費税相当額の7割(70%)が適用されます(インボイスQ&A Q113-3)。
なお、基準期間(原則として2事業年度前)の消費税課税対象となる売上高が1億円未満の事業者が適用できる税込1万円未満の課税仕入取引に対する適格請求書不要で消費税相当額全額を控除できる特例がありますが、今回の経過措置とは関係なく2029年(令和11年)9月30日購入分までの適用となりますのでご注意ください。
適格請求書発行事業者登録により課税事業者になった場合の課税特例
2023年(令和5年)10月の消費税インボイス制度開始にあたっては、これまで基準期間(原則として2事業年度前)の消費税課税対象となる売上高が1,000万円以下だったため消費税の納税義務がなかった事業者(免税事業者)もインボイス制度対応で適格請求書発行事業者となると課税事業者として消費税を納税する義務が生じることから、フリーランサーやアーティストを中心に急激な増税を懸念する声があがりました。
そこで、基準期間の消費税課税対象となる売上高が1,000万円以下の事業者が適格請求書発行事業者になった場合には、計算が簡便でかつ納税負担が軽減される2割特例(消費税納税額を課税売上高の2割(20%)とすることができる特例)が導入され、2026年(令和8年)9月30日の属する事業年度まで適用できます。
それでも特にフリーランサーなどの個人事業者を中心に2割特例終了に伴う消費税負担の急激な増加による事業継続不安の声が依然としてあることから、令和8年税制改正で個人事業者に限り2027年度(令和9年度)と2028年度(令和10年度)について消費税納税額を課税売上高の3割(30%)とすることができる「3割特例」の形で消費税負担軽減策が継続されることになりました。
3割特例は個人事業者に限られた特例のため、法人は2026年(令和8年)9月30日の属する事業年度をもって特例措置が終了し、基準期間の消費税課税対象となる売上高が1,000万円超の者と同様の原則通りの消費税額計算になります。また、個人事業者であっても2027年及び2028年において基準期間(それぞれ2025年と2026年)の消費税課税対象となる売上高または前年度(それぞれ2026年と2027年)の1月~6月の消費税課税対象となる売上高が1,000万円超となった場合や日本国内に事業拠点がない個人事業者は、3割特例は適用できず原則通りの消費税額計算となりますのでご注意ください。
おわりに
今回は2026年(令和8年)10月1日からのインボイス制度経過措置の変更点を取り上げました。今回の変更は2023年(令和5年)10月のインボイス制度開始時に導入された消費税負担軽減の経過措置が段階的に引き下げになるものですが、やはりインボイス制度による消費税負担増加を懸念す声はいまだに多く制度導入当初よりも引き下げ度合いは軽減されたものになりました。
インボイス制度開始から3年が経ち、いまだにインボイス制度の意義や消費税の仕組みについて質問を受けることがあります。意義が理解されないまま消費税負担が重くなる、また、事務対応が増えるという不満の声あり、引続き当事務所ではインボイス制度の意義について丁寧に説明いたしますとともに、今後もインボイス制度についてブログでの発信を継続してまいります。

