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○○○万円の壁とは?

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○○万円の壁とは?

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2024/11/15

目次

    はじめに

    厚生労働省が社会保険の加入要件に関するいわゆる「106万円の壁」を撤廃しパート労働者などの出勤時間調整を意識せずに働けるようにすることを検討しているとの報道がありました(下記リンク参照)。当事務所でも関与先からよく質問されるのですが、そもそも「○○万円の壁」とは何でしょうか?また、金額もいくつかあり理解しにくいとの指摘があります。
    今回は改めて「○○万円の壁」について用語解説しながらどのタイミングで何を意識すべきかお話いたします。なお、この「○○万円の壁」の○○万円の金額は給与収入の金額であり、給与以外の収入がある場合は別途検討が必要ですのであらかじめご承知おきください。

    日本経済新聞2024年11月8日|厚生年金、年収「106万円の壁」要件は撤廃へ 厚労省調整

     

    ①103万円の壁

    ここから金額の壁について金額の低い順に詳しくお話します。まずは103万円の壁です。
    103万円は所得税に関する壁で給与収入が年間103万円以下であれば非課税、103万円超だと課税されるというものです。ここでいう給与収入は全ての勤務先での収入合計をいいますが、通勤手当など所得税非課税となる金額は含まれませんのでご注意ください。
    ただし、給与に該当しない副業収入が20万円以上ある場合などほかの所得が一定金額以上ある場合は給与収入が年間103万円以下であっても所得税が課税されることがありますので、個別にご相談ください。
    なお、あまり取り上げられませんが都道府県民税と市町村民税については当事務所のある北海道札幌市にお住まいの場合、原則として給与収入が年間100万円以下であれば非課税、100万円超だと課税されることになっています。

     

    ②106万円の壁

    次に106万円の壁です。
    106万円は健康保険・厚生年金に関する壁で給与収入が年間106万円未満であれば加入不要、106万円以上だと原則加入というものです。ここでいう給与収入も全ての勤務先での収入合計をいい、通勤手当など所得税非課税となる金額を含みます。
    ただし、従業員50人以下の企業または週20時間未満で勤務する場合には106万円の壁は適用されません。令和6年(2024年)10月より加入要件が従業員100人超から50人超に引下げられ、106万円の壁の対象となる方が増えました。

     

    ③130万円の壁

    次に130万円の壁です。
    130万円は国民健康保険・国民年金に関する壁で給与収入が年間130万円未満であれば世帯主加入者の扶養家族となり、130万円以上だと保険者本人として加入というものです。ここでいう給与収入も全ての勤務先での収入合計をいい、通勤手当など所得税非課税となる金額も含みます。

    従業員50人超の企業に週20時間以上勤務する場合には、上記の106万円の壁で健康保険・厚生年金に加入することになるため、この130万円の壁は従業員50人以下の企業または週20時間未満で勤務する場合に関係します。つまり、中小規模の事業者にパートやアルバイトとして勤務する方が主に該当します。
    この壁に該当すると、本人が社会保険料を支払うことになるため家計単位での社会保険料負担が大きくなります。

     

    ④150万円の壁

    最後は150万円の壁です。
    150万円は所得税に関する壁で給与収入が年間150万円以下であれば配偶者が受けられる配偶者控除(配偶者特別控除)が満額38万円受けられる一方、150万円超だと減額されるというものです。ここでいう給与収入は全ての勤務先での収入合計をいいますが、通勤手当など所得税非課税となる金額は含まれませんのでご注意ください。
    また103万円の壁同様に給与に該当しない副業収入が20万円以上ある場合などほかの所得が一定金額以上ある場合は給与収入が年間150万円以下であっても配偶者特別控除が受けられないまたは減額されることがありますので、個別にご相談ください。
    ご参考までに収入が給与収入のみ場合配偶者特別控除減額の幅は以下の通りです。

    • 150万円超~155万円以下 -2万円
    • 155万円超~160万円以下 -7万円
    • 160万円超~165万円以下 -12万円
    • 165万円超~170万円以下 -17万円
    • 170万円超~175万円以下 -22万円
    • 175万円超~180万円以下 -27万円
    • 180万円超~185万円以下 -32万円
    • 185万円超~188万円以下 -35万円
    • 188万円超 配偶者特別控除なし

    なお、上記の配偶者控除及び配偶者特別控除の金額は配偶者側の所得が900万円以内の場合であり、900万円を超える場合は減額、1000万円を超える場合はそもそも適用できませんのでご注意ください。​​​​​​​
     

    おわりに

    今回は勤務調整に関するいわゆる「○○○万円の壁」について取り上げました。年末になるとこれ以上稼ぐと家計に却って負担になるからという理由で勤務シフトを調整するケースが多くみられます。本来は稼ぐほど家計を安定するのが筋ですが実際にはそうなっていないため、非課税や保険非加入の壁を撤廃することで勤務シフトや収入を機にしなくても良くなるようにするというものです。
    ただし、今回改正が検討されている「106万円の壁」は前述の通り、従業員50人以下の企業または週20時間未満で勤務する場合には適用されないため、影響するのは従業員が多い大企業や中堅企業と呼ばれる企業でのパート・アルバイトに限定されます。ですので、中小企業でパートやアルバイトとして勤務している場合には「130万円の壁」が引き続き立ちはだかることになります。
    立憲民主党はいわゆる「130万円の壁」対策のとして給与年収130万円~200万円の人に給付金を支給する対案を提案する方向のようです。
    立憲民主党HP|「130万円の壁」等を給付で埋める「就労支援給付制度の導入に関する法律案」を再提出
    いずれにしても、壁によって働くと却って負担が増える状態、複雑な壁によって分かりにくい状態は早めに解消すべきことではないかと考えます。

     

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