ふるさと納税を今一度おさらいしよう!|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!
2023/12/08
目次
はじめに
今年も12月年の瀬となりました。寄付した分だけ税金が減り、なおかつ地域の返礼品がもらえるふるさと納税を駆けこみで申し込もうとしている方も多いのではないでしょうか?今回は、ふるさと納税制度について今一度おさらいし、税金の特典を受けるためにはどうすればよいかについて、また、思わぬ落とし穴についても取り上げます。
ふるさと納税とは
まず、ふるさと納税とは何か簡単におさらいしましょう。ふるさと納税とは住民税(都道府県民税と市町村民税)の寄附金控除の特例制度の一つで、通常の税額控除額((寄附金額-2,000円)×税率)に加えて所得に応じて課税される部分の20%を上限としてふるさと納税額を住民税から控除できるものです。つまり、住民税の支払先を住む自治体から別の自治体にシフトする効果がある制度です。また、寄付額により返礼品を受取ることができることがふるさと納税の魅力となっています。
ふるさと納税は2008年(平成20年)から始まり制度導入から15年が経過しています。その間、返礼品と規検索サイトの充実で利用者が増加した一方、過度で高額な返礼品による自治体同士の獲得競争や寄付先となりにくく制度利用者が多い都市部自治体の税収減など問題も出てきました。これらの問題は税金の問題というよりも制度設計や自治体の財政政策の問題です。ふるさと納税が自治体間の税収の偏りを是正するのか、あるいは新たな形での自治体間の税収の偏りを生みだしているのか、自治体の財政状況を注視していきたいところです。
次以降の項目で、税理士のブログらしくふるさと納税において税金面での優遇を受けるために必要な手続と思わぬ課税について取り上げます。
税金面での優遇を受けるために
税金面でメリットがあることはお話しましたが、ここでは適用を受けるためにはどのような手続が必要なのかお話します。
税額控除の優遇を受けるためにはまずふるさと納税をした自治体から送られる寄附金控除証明書を受取る必要があります。ただし、寄附金控除証明書は郵送であるため特に遠方の自治体からですと寄付した日から2週間~1ヶ月かかることがあります。また、多くの自治体にふるさと納税をしていると寄附金控除証明書自体の保管が手間になることがあります。そのため、2021年(令和3年)の確定申告から、ふるさと納税サイト運営業者が発行する寄附金控除に関する証明書というふるさと納税の年間一覧表で代えることができるようになりました。この証明書ですと数枚で収まり、比較的短期間で証明書を入手することができます。また、寄附金控除に関する証明書は年明けからマイナポータルで電子データ取得することもできます。
その後、証明書を基に手続を行いますが年末調整ではふるさと納税をはじめとする寄附金控除の手続をすることができません。そのため、確定申告で適用を受けることになります。紙面で申告する場合証明書を添付して提出します。一方、e-Taxで申告する場合は証明書の添付や別途送付は不要で最低5年間保管することになります。また、マイナポータルで取得した証明書の電子データはe-Taxでの申告の際データをe-Taxのサイトに取り込むことで寄附金控除を自動計算してくれます。
なお、確定申告をした場合住民税の控除はお住まいの市町村に寄附金控除情報が転送され市町村の住民税担当部署が反映することから、特段追加の手続は必要ありません。
ワンストップ特例
確定申告をすることで税額控除を受けることができるとお話しましたが、確定申告の作業をすることはある程度の時間が必要になり、特にフルタイム勤務の方には大変な負担になることがあります。そこで、ワンストップ特例というつ簡便な申請制度があります。寄付をした自治体から寄附金控除証明書と一緒に送られる専用の申請用紙に必要事項を記入し当該自治体に返送して返送すれば寄附金控除の適用が受けることができます。この特例の場合、所得税の控除を受けることができず、代わりに所得税で控除できる金額を住民税の控除に充当します。
ただし、ワンストップ特例は1年間の間の寄付先が5自治体以内の場合に限られ、6自治体以上に寄付した場合は原則通り確定申告が必要になりますので、多くの自治体に寄付したい方はご注意ください。
返礼品課税に注意!
ふるさと納税をする目的として多いのが節税を図りながらの各自治体からの返戻品受け取りです。返礼品はふるさと納税のお礼として送られますが、言い方を換えますと自治体からの贈答品でもあります。法人からの贈答の受け取りはお金の受け取りでなくても所得税の課税対象になることがあります。つまり、返礼品を多くもらうと寄附金による節税効果を相殺するような思わぬ税金が発生することがあるのです。
具体的には自治体からの返礼品の受取額相当額が50万円を超えると一時所得が課税されます。最近は総務省の通達により高額返戻品競争は落ち着きつつありますが、あまりに高額な返礼品を受取ると課税されることがあります。また、あまりに多くの返礼品の受け取りにも注意が必要です。
おわりに
今回はふるさと納税について税金の面からお話ししました。ふるさと納税は地域振興と地域格差是正を目的に創設された制度です。よく節税効果を目的としてふるさと納税を検討する方がいますが、税金の行き先が変わるだけであり実質的な税金負担は変わりません。また、赤字などで所得が少ない方についてはふるさと納税をするとむしろ自主的な税金負担の増加となります。
ふるさと納税は返礼品や節税効果の有無に関わらず、地域の事情をよく情報収集して理解し、その地域を応援したいという想いをもって行うことで、寄付した人、寄付を受取った自治体、地域の住民が喜ぶ三方よしの大きな喜びに繋がるのではないでしょうか。