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ケーキの原価計算|札幌市の公認会計士・税理士熊谷亘泰事務所

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ケーキの原価計算|札幌市の公認会計士・税理士熊谷亘泰事務所

2021/12/13

今回は趣向を変えてクリスマスシーズンの12月が最も売上の大きいケーキを例に原価計算の意義についてお話します。原価計算というとどのようなことをイメージしますか?複雑そうとか、お堅そうなイメージをする方もいらっしゃると思います。今回はいきなり専門的な解説をせず、あたかもスイーツ屋さんの仕事を紹介するかのようにお話し、その中で原価計算にまつわる話を取り上げます。原価計算の意義もそうですが、おいしいケーキを作るためのスイーツ屋さんのご苦労をお伝えし、感謝できればと思っています。

今年買うケーキのお値段は?

原価計算の目的

クリスマスシーズンに入り、既にクリスマスに食べるケーキを予約している方もいらっしゃると思います。今回予約したケーキはいくらでしたか?なぜそのような価格がついているのでしょうか?全くの金もうけで値付けしているのではありません。ケーキを作ったり、売ったりするためにスイーツ屋も多額の支払いをしています。では、どのようなことに多額の支払いをするのでしょうか?また、支払はいくらになるのでしょうか?そのようなことを明らかにするのが「原価計算」なのです。もちろん支払以上の売上がないと赤字になり、今後スイーツを作って販売することが難しくなってしまいます。つまり、いくらで売るのかを決めるためにも原価計算は重要なのです。もし、昨年と同じケーキなのに値段が上がっていたら、売るための支払つまり原価が上がっているのかもしれません。スイーツ屋さんもお客さんに負担を強いることになり苦渋ですが、おいしいスイーツを作り続けるために致し方ないことでもあるのです。では、次から原価について具体的に話を進めます。

ケーキの材料は?

材料費

ケーキを作るにはもちろん材料が必要です。必要な材料は何でしょうか?主な材料は以下でしょう。
・小麦粉
・砂糖
・卵
・生クリーム
・果物、ナッツ類
・チョコレート
・香料
以上の材料はどのくらい必要でしょうか?一様に言えないでしょう。商品ごとにレシピがあり、レシピによって使う材料が違えば、使う量も異なるからです。それでもレシピごとのおおよその分量はわかるでしょう。分量が分かれば作る数量を掛けることで必要材料仕入数量がわかります。材料の金額は通常数量単位で単価が設定されています。例えばあるレシピについて材料代がいくらかかるかは例えば以下のように示すことができます。

チョコレートクリーム4号(1~2人前)1個当たりの材料
砂糖         〇〇g × △△円/g = ◇◇円
小麦粉        〇〇g × △△円/g = ◇◇円
卵(大玉)      〇〇個× △△円/個 = ◇◇円
生クリーム     〇〇ℓ× △△円/ℓ = ◇◇円
板チョコレート 〇〇枚× △△円/枚 = ◇◇円
合計                  ◇◇円 

以上のような表にしてケーキを作るために必要な材料費を算定します。ただし、この表はあくまでレシピごとに標準的に必要な数量と金額を示しているため、実際の数量と金額はその時々によって前後します。
以上の表は、仕入金額を算定するために都合の良い形で表示しており、よくあるレシピ表とは材料名や数量表示が異なる場合があります。例えば卵はケーキにする場合卵丸ごとではなく卵黄だけ使うケースがあったり、チョコレートは加工して使う場合グラム表示であることがあると思います。できるだけレシピ表と同じであったほうが分かりやすいのですが、表を作る目的が異なるため異なることがあります。

1ホール作るのにかかる時間は?

労務費

ケーキは材料があるだけでは作れません。材料を加工・調理することで素敵な見た目で甘いケーキになります。ケーキ作りには機械や道具を使いますが、結局は人手が入ります。材料を混ぜ合わせたり、クリームを泡立てたり、生地を焼いたり、デコレーションを施したり… ケーキ作りには多くの作業工程があります。作業にはどのくらい時間がかかるのでしょうか?ケーキ作りに人を雇うと作業した時間に対し、賃金や給料など労務費の形で対価を払うことになります。あるレシピについて手順と時間、必要な賃金を示した表の例を以下に示します。

チョコレートクリーム4号(1~2人前)1個当たりの作業
①卵黄、小麦粉、砂糖を混ぜ合わせ生地を作る       〇〇分 × △△円/分 = ◇◇円
②板チョコレートを湯せんで暖め溶かす               〇〇分× △△円/分 = ◇◇円
③生クリームと溶かしチョコレートを混ぜ合わせ泡立てる 〇〇分× △△円/分 = ◇◇円
④生地に溶かしチョコレートを混ぜ合わせ練る             〇〇分× △△円/分 = ◇◇円
⑤生地を型に流し込みオーブンで焼く          〇〇分× △△円/分 = ◇◇円
⑥焼いた生地にチョコレートクリームをのせる      〇〇分× △△円/分 = ◇◇円
⑦イチゴとデコレーションを乗せる           〇〇分× △△円/分 = ◇◇円
⑧出来上がったケーキを箱に入れる           〇〇分× △△円/分 = ◇◇円
合計                                     ◇◇円 
作業について時間を示すだけでなく、お金に換算することで材料代との比較や販売価格の設定に役立てることができます。また、もう少し作業を効率化したい、あるいは、もっと腕のある職人が作らせたいなど作業の見直しや人員の変更をする場合も客観的に変更の効果を分析することができます。

ケーキ作りに何を使うの?

製造間接費

ここまでレシピ表形式でケーキ作りに必要な材料費と労務費の算定方法を説明しました。先ほどの箇所でケーキ作りには機械や道具を使うと申し上げました。機械や道具を買うにもお金がかかります。また、オーブンには電気または燃料が必要です。作業場所の照明の電気代や賃借料もかかります。ケーキ作りには材料や人手以外にもコストがかかります。
ですが、材料や人手以外のコストは1個単位で直接把握することができません。会計用語では、単位当たりコストがわかるものを「直接費」、単位当たりコストが直接把握できないものを「間接費」と言います。
もちろん間接費もケーキ販売の売上で回収します。そのため、販売価格の値付けの際は間接費も考慮する必要があります。では、どのように考慮すればよいでしょうか。主に2通りの方法があります。
1.1年間、または1か月間の費用を期間内の予定数量で割って1個当たり間接費を出す
2.1年間、または1か月間の予定数量に1個当たり材料費及び労務費を掛けて期間内の原価(コスト)を割り出し、期間内の間接費と比較できるようにする
いずれの方法を採用してもその期間の予定数量と実際の生産数量の差によって総原価(コスト)に差異が生じます。この差異を原価差異といい原価の増減原因分析と分析結果を踏まえた改善に役立てることにより、よりおいしく付加価値の高いケーキ作りにつなげることができます。

ケーキを売るにはどのようなことをする?

販売費

ここまでケーキ作りについての原価(コスト)の出し方、使い方についてお話しました。ケーキを作るだけではケーキを楽しみにしている人たちの口に入らず、売上にもなりません。店舗で販売したり、お客さんへ届けたりすることで初めてスイーツ屋の意義が出ます。作ってから販売するまでの間にもコストがかかります。例えば、店舗の電気代、賃借料、販売スタッフの給料、配達・配送の場合の運賃、広告宣伝費などです。こうした製造後販売までに係るコストを「販売費」といい、ケーキが1つの完成品の状態になってからかかるためいわゆる「原価計算」には含みません。言い換えいれば、「原価計算」は完成した製品になるまでにかかったコストを算定するための計算です。ですが、販売費も売上で回収することには変わりなく、販売価格の値付けの際も考慮する必要があります。ではどのような方法で考慮に入れると良いのでしょうか?次の箇所でお話します。

利益はどの活動から生み出されているのか?

2通りの損益計算

ここまで原価(コスト)についてお話ししました。繰り返しになりますが、利益は売りあげることによって生み出されます。でも売り上げるにはコストがかかります。売り上げることによってもたらされる利益はいくらくらいなのかを示すのが損益計算書です。損益計算書は以下の通りです。
【損益計算書】
売上高            ◇◇円
売上原価           ◇◇円
 (内訳)
 期首製品     ◇◇円
 当期製造原価   ◇◇円
 (-)期末製品     ◇◇円
売上総利益          ◇◇円
販売費及び一般管理費     ◇◇円
営業利益           ◇◇円
(一般管理費:経営や経理など事務的な作業の費用や全ての事業に共通して発生する費用)
また、当期製造原価に関しては内訳表として製造原価報告書という決算書があります。
【製造原価報告書】
材料費         ◇◇円
 (内訳)
 期首材料   ◇◇円
 当期仕入高  ◇◇円
 期末材料   ◇◇円
労務費         ◇◇円
製造間接費       ◇◇円
当期製造原価合計    ◇◇円
以上の決算書から売上と利益の関連性がわかるのですが、もし利益を改善させるときは単純に数量を増やして売上をあげればよいのでしょうか。数量を増やすと仕入も作業時間も増え、材料費や労務費は増えます。オーブンやその他道具の使用時間が増え、電気代や燃料代も増えるでしょう。また、配送の場合運賃も増えます。売上が増えると比例して増えるコストがあるため、その点を考慮する必要があります。このような売上比例のコストや費用を「変動費」といいます。一方、賃借料や機械・道具の購入費は売上や数量の増減に関係なく一定して発生します。このようなコストや費用を「固定費」といいます。売上数量を増やすことによって増える利益は、売上の増加ー変動費の増加になり、(売上―変動費)で算出した利益を「限界利益」といいます。以下の通り変動費と固定費にコスト分解した形で損益計算書を作成することで売り上げを増やすといくら利益が増えるのかが分かりやすくなります。
【損益計算書】
売上高            ◇◇円
変動費            ◇◇円
 (内訳)
 材料費      ◇◇円
 労務費      ◇◇円
 変動製造間接費  ◇◇円
 変動販売費    ◇◇円
限界利益           ◇◇円
固定費            ◇◇円
 (内訳)
 固定製造間接費  ◇◇円
 固定販売費    ◇◇円
 一般管理費    ◇◇円
営業利益           ◇◇円
営業利益の金額は、先に掲げた例と異なります。異なる理由は固定製造間接費にあり、最初に掲げた形式では未販売の製品の在庫として翌期に繰り越される一方、変動費と固定費に分解した形式では当期の費用として翌期には繰り越されないからです。最初に掲げた形式で原価を計算する方法を「全部原価計算」といい、変動費と固定費に分解して原価計算する方法を「直接原価計算」といいます。値付けの際に損益計算書を用いる際は、一概にいずれの方法がふさわしいということはありませんが、短期間でコストを回収したい場合は固定費を繰り越さない「直接原価計算」が向いています。一般にスイーツは長期保存ができず、短いスパンでコスト回収をすることになりますので、「直接原価計算」による損益分析がおすすめです。

いかがでしたか?スイーツ屋でケーキを作って売るための努力をお金に換算して分析する方法を説明しました。今回の記事を一通り読むと売れ残ったクリスマスケーキの大量廃棄がいかに問題なのか、環境面だけでなく経済面でもわかるのではないでしょうか?

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