公認会計士・税理士熊谷亘泰事務所

インボイス解説シリーズ(令和5年10月追加分)|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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2023/10/13

目次

    はじめに

    いよいよ2023年(令和5年)10月1日よりインボイス制度が開始されました。インボイス制度開始に合わせて各事業者でのインボイス対応が進んでいます。国税庁のインボイスQ&Aについても各所からの質問に応じて適宜追加されています。インボイス制度開始にあわせてインボイスQ&Aも更新されており、今回の更新では4つの項目が追加されています。今回はそれら4つの項目について解説します。なお、過去にインボイスQ&Aに取り上げられた項目のうち特に多くの事業者に影響があるものについて過去に解説しておりますので、以下にリンクを貼っておきます。
    第5回 国税庁Q&Aの解説その1
    第6回 国税庁Q&Aの解説その2
    第7回 国税庁Q&Aの解説その3
    第8回 国税庁Q&Aの解説その4
    国税庁Q&Aの解説令和5年税制改正編

     

    お店をオープン後インボイス登録手続中の場合の取扱い

    事業開始または法人設立当初からインボイスを発行し顧客に交付するためには、開業または法人設立の後課税期間末日までに適格請求書発行事業者登録申請書を税務署に提出し、一定の審査期間を経て適格請求書発行事業者登録され登録番号を受ける必要があります。そのため、事業を開始してから登録されるまでの間は登録番号がなくインボイスを発行できなくなります。登録待ち期間中の対応としては、

    1. 登録になるのを待って登録後に登録番号が入った請求書等を発行する
    2. 登録番号が入っていない請求書等を発行し、登録後に改めて登録番号が入った請求書等を再発行する
    3. 登録番号が入っていない請求書等を発行し、登録後登録番号と事後通知対象となった請求書の番号、発行日等を記載した文書等で通知する

    があります。ですが、コンビニや飲食店など不特定多数の顧客がいる場合上記の対応では発行作業が煩雑になる上に、再交付対象者を遡って調べることは困難です。そこで、不特定多数の顧客がいる事業者が開業直後で登録番号がまだ付与されていないときに行われた取引における場合の対応として、事前に店頭やホームページなどで適格請求書発行事業者登録申請中のためインボイスが現在発行できない旨の通知をした上で

    1. 登録後登録番号をホームページや店頭配布物等で公表し、インボイス対応前のレシート等と共に公表物を印刷して保存することでインボイスの要件を満たす
    2. インボイス希望の買手に登録後電話等で登録番号を連絡し、買手がレシート等に登録番号を追記する

    形で対応して差し支えないとされています。なお、以上の対応は開業後登録日前の取引に限定され、登録日以後の取引については希望者にインボイス適格のレシート等を発行・交付する必要がありますのでご注意ください。
    (令和5年10月版インボイスQ&A No.37)

     

    製作委員会やJVなど法人格のない組合によるインボイス発行

    近年の映画や長編アニメ作品では、資金の安定調達と失敗時のリスク分散のため複数の企業が参画・出資する製作委員会方式がよく用いられます。また、大型の建設工事の場合も同様の理由で複数の建設会社がJVを構成して工事案件を受注します。製作委員会やJVの多くは設立や議決、解散などに煩雑な手続を要しない民法上の任意組合や有限責任事業組合の形式が取られ法人格を有していないことが多くあります。適格請求書発行事業者登録は法人格がないとできず、このままですと各組合員が出資比率に応じてそれぞれ請求書を発行することになり請求手続きが煩雑になります。
    このため、通常任意組合については通常製作委員会やJVの名義で請求書等を発行することから、組合員全員が適格請求書発行事業者であることを前提に組合員全員の事業者名と登録番号の一覧を届け出ることで、幹事となる組合員の企業の名義と登録番号で任意組合等全体のインボイスを発行することができることになっています(第6回 国税庁Q&Aの解説その2参照)。一方、途中で適格請求書発行事業者登録申請中の新会社が加入することがありますが、登録が済むまで適格請求書発行事業者に該当しないため、申請期間中にそのまま組合員になると任意組合等全体でのインボイス発行ができなくなります。そこで、登録申請中の新会社が加入する場合、組合構成員変更時に提出する組合員全員の事業者名と登録番号の一覧には登録申請中などの記載をすることにより引続き任意組合等全体でのインボイスが発行できることになっています。もちろん、適格請求書発行事業者登録後速やかに新たに登録された番号の入った組合員全員の事業者名と登録番号の一覧を提出する必要があります。
    なお、組合員の異動が頻繁で組合員全員の事業者名と登録番号の一覧を都度提出することが煩雑な場合は、組合の計算期間末時点において組合員全員の事業者名と登録番号の一覧を提出することもできます。
    (令和5年10月版インボイスQ&A No.51)

     

    自治体指定ごみ袋や粗大ごみ処理券購入に関するインボイス

    燃えるごみや燃えないごみについては有料化され、各自治体で指定された袋をスーパーやコンビニなどの小売店で購入してその袋に入れて出す形になっているケースが多くなりました。また、粗大ごみについても処理券を事前に購入し、回収日に粗大ごみに処理券を貼って出す形を取っている自治体もあります。こうした自治体指定のごみ袋や処理券は自治体が地元の小売店に委託して販売している形になっているケースがほとんどです。また、ごみ袋や処理券は自治体により消費税を課税しているかどうかが異なります。そのため、ごみ袋等を扱う小売店特に複数の市町村に展開するチェーン店にとってはインボイスに対応するレシートなどで指定ごみ袋等の消費税をどのように扱うかが問題になります。
    指定ごみ袋等の販売においては、媒介者交付特例を利用し仮に消費税が不課税または非課税であってもお店の名義と登録番号でインボイス対応のレシートを発行して差し支えないとされています。
    また、媒介者交付特例の要件として委託者から受託者のインボイス対応書類が必要になりますが、通常指定ごみ袋等では各自治体は納品書や請求書を発行せず、各小売店が販売した枚数を自治体に報告する納入通知書のみが販売委託者である各自治体とのやり取り文書となります。そのため、納入通知書のやりとりをもって媒介者交付特例の適用が可能とされています。
    (令和5年10月版インボイスQ&A No.53)

     

    ETCで高速道路を利用した場合のインボイス受領

    高速道路料金をETCで決済する場合、原則として有人料金所またはETC利用照会サービスでインボイス対応の利用明細書を入手し保存することが仕入消費税控除適用の要件となります。
    その一方、頻繁に高速道路を利用して移動している場合、都度利用明細書を入手することは事務処理が煩雑になります。そのため、頻繁に高速道路を利用する事業者はETCカード発行会社が発行する利用日と利用区間が載った月次のクレジットカード利用明細書をダウンロードして保存することでインボイスに対応した書類を保存したものとみなすことになりました。また、割引を受けるために事業協同組合発行のETCカードを利用している場合も、組合が発行するカード代金精算書を保存することでインボイスに対応した書類を保存したものとみなすことになりました。
    なお、高速道路会社が発行するETCコーポレートカードやETCパーソナルカードは、毎月届く請求書がインボイスに対応していることから上記の特例は適用できないものとされています。
    ETCクレジットカードを利用した高速道路利用に係るインボイス対応について
    (令和5年10月版インボイスQ&A No.103)

     

    おわりに

    今回はインボイス制度開始後公表されたQ&Aを取り上げました。インボイスQ&Aはインボイス制度開始前の2020年(令和2年)9月の初版から今回の改訂を含めて4回改訂され、更新のたびに国税庁に問合せのあった重要な質問と回答を新たなQ&Aとして盛り込まれてきました。今回のQ&Aに新たに盛り込まれた4つの項目はいずれも個別の場面におけるもので、一般的な取扱いに従うと煩雑なため簡便的な扱いを認めるというものです。今後インボイス制度の実務が進むに従い、一般的なインボイス対応の取扱いでは不明確だったり煩雑だったりするケースが出てくるものと思われます。
    当事務所では、今後もインボイス制度に関して新たな取扱いが出ましたら解説をブログで取り上げる所存です。

     

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