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外貨・暗号通貨の換算|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

2022/09/02

目次

    はじめに

    外貨や暗号通貨を持っている場合や取引する場合、確定申告では全て円に換算する必要があります。でもどのレートを使えばよいのかわからない方もいるのではないのでしょうか。そこで、今回はどのレートを使うのか解説致します。保有目的や所得、法人なのか個人なのかでも異なります。目的別に分けていますので、必要な箇所をご覧いただければ、ご覧の皆様の疑問が解けるようになっています。
     

    所得税(資産運用に関する所得)の場合

    ここでは、個人で外貨や暗号通貨、外貨建て商品を保有している場合の円換算について解説します。所得税法第57条の3第1項によりますと、「居住者が、外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいう。)を行つた場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額(外国通貨で表示された金額を本邦通貨表示の金額に換算した金額をいう。)は当該外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額として、その者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする」と規定されています。
    つまり、取引が行われたタイミングのレートで換算するとされています。最もわかりやすい例として円ドルを売買する取引を掲げます。ある日に日本円¥14,000を$1=\140だったタイミングで米ドル$100に変え、その3日後($1=¥142)に変えた米ドル$100を全て円¥14,200に変えた取引の場合、適用するレートは米ドルに替えたときはその時のレート$1=\140、日本円に替えたときはその時のレート$1=¥142となるということです。余談ですが、外貨・暗号通貨取引の場合先の例のように円安ドル高になった場合、ドル高によって円が増えた利益14,200-14,000=200円が雑所得として課税対象になります。この利益は外貨建て有価証券の売買や外貨建てローンの貸借でも生じえます。理由は、税法では外貨建て取引は全て外貨建てで行うものとみなし、外貨で入金された後日本円に替えたり、外貨で資産購入や返済するために日本円を外貨に換えるという考え方をとっているためです。


     

    所得税(不動産、事業、山林所得)と消費税の場合

    ここでは、外貨建て取引のある事業をされている方(不動産賃貸、山林取引含む)向けに円換算について解説します。上述の資産運用の箇所でも引用しましたが所得税法第57条の3第1項によりますと、「居住者が、外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいう。)を行つた場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額(外国通貨で表示された金額を本邦通貨表示の金額に換算した金額をいう。)は当該外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額として、その者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする」と規定されています。つまり取引時点の換算レートで円換算します。
    この規定で事業者がすべき箇所は、外貨建取引の定義を示しているかっこ書き「外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引」です。「資産の販売及び購入、役務の提供」と「外国通貨で支払」されるタイミングが同時であれば支払時と換算レートで円換算することは明白ですが、後払いまたは先払いで「資産の販売及び購入、役務の提供」と「外国通貨で支払」されるタイミングが異なる場合どのように適用するのかが問題になります。そもそも事業に関する売上、仕入及び経費は発生主義といい、代金決済時ではなく資産の売買または役務提供の時点で計上することになっています。別の視点から見ると後払いまたは先払いは資産の売買や役務提供の代金を当事者間で貸し借りしている状態です。そのため、資産の売買と役務提供のタイミングで売上、仕入及び経費を計上するときは同時点のレートで円換算し、代金決済時は決済時のレートで入金額または支払額を円換算します。適用するレートが異なることにより為替レート変動に伴うずれが生じますが、この適用レートのずれは「為替差損益」という科目を用いて所得計算に含めます。

    なお、為替レート変動による損失を防止または抑える(リスクヘッジする)ために為替予約、通貨オプションなどのデリバティブ(金融派生)商品を使って決済レートを指定のレートに固定することがありますが、この場合代金決済時に適用するレートは決済日当日の為替レートではなく固定したレートで円換算すると、所得税法第57条の3第2項に規定されています。
     

    法人の場合

    ここでは、法人が外貨建て取引をする場合の円換算について解説します。
    法人税法第61条の8第1項によりますと、「
    内国法人が外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れ、剰余金の配当その他の取引をいう)を行つた場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額(外国通貨で表示された金額を本邦通貨表示の金額に換算した金額をいう。)は、当該外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額とする」と規定されています。つまり、取引が行われた時点の為替レートで円換算するということです。具体的には、TTMと呼ばれる電信仲値相場というレートで換算します。為替相場には、円から外貨に換える場合のレートTTB(電信買相場)と反対に外貨から円に換える場合のレートTTS(電信売相場)の2つがあり、それぞれ為替手数料を加減したレートであるためTTBとTTSを足して2で割った平均が本来のレートであり、平均であるため電信仲値相場と言われます。日々のニュースで報道される相場は電信仲値相場です。資産売買や役務の提供と代金決済のタイミングが異なることによる為替レートの変動は「為替差損益」という科目を使って経理します。
    また、上述の個人事業の場合の箇所でも取り上げましたが、
    為替レート変動による損失を防止または抑える(リスクヘッジする)ために為替予約、通貨オプションなどのデリバティブ(金融派生)商品を使って決済レートを指定のレートに固定した場合、代金決済時に適用するレートは決済日当日の為替レートではなく固定したレートで円換算すると法人税法第61条の8第2項に規定されています。
    なお、決算年度末には一部の資産及び負債について決算年度末の終値でレート換算し、換算に伴う差額を「為替差損益」で経理する(は、法人が外貨建て取引をする場合の円換算について解説します。

    法人税法第61条の8第1項によりますと、「内国法人が外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れ、剰余金の配当その他の取引をいう)を行つた場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額(外国通貨で表示された金額を本邦通貨表示の金額に換算した金額をいう。)は、当該外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額とする」と規定されています。つまり、取引が行われた時点の為替レートで円換算するということです。具体的には、TTMと呼ばれる電信仲値相場というレートで換算します。為替相場には、円から外貨に換える場合のレートTTS(電信売相場)と反対に外貨から円に換える場合のレートTTB(電信買相場)の2つがあり、それぞれ為替手数料を加減したレートであるためTTSとTTBを足して2で割った平均が本来のレートであり、平均であるため電信仲値相場と言われます。日々のニュースで報道される相場は電信仲値相場です。資産売買や役務の提供と代金決済のタイミングが異なることによる為替レートの変動は「為替差損益」という科目を使って経理します。
    また、上述の個人事業の場合の箇所でも取り上げましたが、為替レート変動による損失を防止または抑える(リスクヘッジする)ために為替予約、通貨オプションなどのデリバティブ(金融派生)商品を使って決済レートを指定のレートに固定した場合、代金決済時に適用するレートは決済日当日の為替レートではなく固定したレートで円換算すると法人税法第61条の8第2項に規定されています。
    なお、決算年度末には一部の資産及び負債について決算年度末の終値でレート換算し、換算に伴う差額を「為替差損益」で経理すること(期末時換算法)が法人税法第61条の9に規定されています。対象となる資産負債は1.外貨建債権債務(負債としての社債含む)、2.外貨建有価証券のうちトレーディング目的保有のもの及び満期まで保有する予定の債券、3.外貨預金、4.外国通貨です。このうち、トレーディング目的保有の有価証券と外国通貨以外は本社所在地管轄の税務署へ届出をすることにより、決算年度末におけるレート換算を行わないことができます。
     

    相続・贈与の場合

    ここでは、外貨建または暗号資産建ての資産や債務が相続または贈与の対象になった場合の円換算について解説します。相続税法及び相続税法施行令には外貨建てまたは暗号資産建ての円換算についての規定はなく、行政文書である財産評価基本通達4-3に「外貨建てによる財産及び国外にある財産の邦貨換算は、原則として、納税義務者の取引金融機関が公表する課税時期における最終の為替相場(邦貨換算を行なう場合の外国為替の売買相場のうち、いわゆる対顧客直物電信買相場又はこれに準ずる相場をいう。また、課税時期に当該相場がない場合には、課税時期前の当該相場のうち、課税時期に最も近い日の当該相場とする。)による。 なお、先物外国為替契約(課税時期において選択権を行使していない選択権付為替予約を除く。)を締結していることによりその財産についての為替相場が確定している場合には、当該先物外国為替契約により確定している為替相場による」と示されています。
    つまり、相続または贈与があった日の終値を用いることとされ、決済レートがあらかじめ固定されたものについてはその固定されたレートを用いるということです。ここでいう終値はニュースや投資サイトなどで公表される相場とは異なり、外貨から円に換える場合に適用されるTTB(電信買相場)を用います。TTBは取引している金融機関によって異なります。理由は公表されている為替相場から各金融機関が設定する為替手数料がマイナスされた相場だからです。そのため、通達にも「取引金融機関が公表する」最終の為替相場と示されています。
    なお、土日祝日だったなどの理由で相続または贈与当日の終値がない場合は当日前最新の終値を用いることとされています。

    財産評価基本通達4-3(邦貨換算)

    おわりに

    今回は外貨建てや暗号資産建の資産負債がある場合の円換算について解説しました。課税される税金や所得の種類によって適用される換算レートが異なるため、どの税金が課税されるのかを正確に理解し、適用される方法に合わせて必要な相場情報を入手できるよう確認するようにしましょう。必ずしもニュースや投資サイトなどで公表されているレートが適用可能なレートとは限りません。

    今回の記事をお読みになり、具体的にどのレートを適用しどのように入手すればよいかご質問、ご相談のある方は下記リンクのお問い合わせフォームに是非一度お問い合わせください。
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