公認会計士・税理士熊谷亘泰事務所

旅費について|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

お問い合わせはこちら

旅費について|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

旅費について|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

2022/05/04

目次

    はじめに

    この記事は5月初旬、ゴールデンウィークの時期にアップしています。2020年、2021年とコロナウイルス感染拡大防止と銘打って行動制限がかかりあまり移動しなかったという方が多かったのではないかと思います。2022年は3年ぶりに行動制限がなく、久しぶりにゴールデンウィークにお出かけという方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も3年ぶりにお出かけするゴールデンウィークです。
    お出かけには交通費や車両費、宿泊代が付き物です。そのお出かけが出張などビジネスに関するものであれば事業経費として節税につながるかどうか気にする方も多いのではないでしょうか。今回は旅費の事業経費算入についてお話します。

    旅費交通費の範囲

    旅費交通費はどこまでを指すのでしょうか?明確な定義はありませんが、一般的に出張や転勤のためにかかった交通費、宿泊費、日当を指します。通勤にかかる交通費や燃料代を含める場合がありますが、毎月の給与と一緒に支払うケースが多いことから給与として経理することが一般的です。いずれにしても、事業経費として算入できるのは移動や宿泊の目的が出張や転勤など業務目的に関する部分であり、通常必要とされる部分に限られます。
    通常必要とされる部分という表現が抽象的ですが、別な表現では「社会通念上相当な」という表現があります。多くの人がいいじゃないかと感じるといういかにも日本的な考え方ですが、その時々の時世で変わるものではないでしょうか。例えば、コロナ前であれば毎日自宅から職場に通勤していてその間の定期券代は必要だったかもしれないが、原則自宅勤務となり職場移動回数が減ると6か月通勤定期よりも都度運賃を払ったほうが安くなったケースです。この例があるからと言って一概に通勤定期代が必要経費として認められなくなるわけではないですし、一律に適用されるわけではありません。あくまで、実態からみて多くの人が不必要な経費ではないかと感じる支出が支出として認められない可能性が高いということです。必要経費として認められやすくにするために旅費規程の整備や社内スケジュールの共有で支給対象を明確にすることがおすすめです。なお、必要経費と認められない経費について事業主や役員向けであれば役員報酬や個人経費として取扱い、従業員であれば臨時支給の給与として取り扱います。
    国税庁HP No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い

    領収書が出ない交通費の証明

    経費支払の証明として領収書やレシートなどを保存することが税法で求められています。特に消費税の仕入税額控除を受けるためには支払先、取引年月日、金額の3つが明記された領収書やレシートが必要です。さらに2023年10月からのインボイス制度が導入されると3つの要件に加え、税率別の税額と支払先の登録番号が必要になります。
    たいていの取引では領収書やレシート、請求書が交付されますが、交通費、特に通常の電車やバス代の支払では領収書やレシートが発行されないのが一般的です。その場合、どのようにして取引があったことを証明すればよいのでしょうか。国税庁の取扱いは会計帳簿に支払先、取引年月日、金額、交通費である旨の記載をして保存すれば認められることになっています。ただし、1回の取引が3万円以上ですと領収書の保存が必要になりますので領収書の取り忘れに注意してください。この取扱いはインボイス制度導入後も同じです。
    なお、出張旅費を従業員が立て替え事後的に精算する場合は出張報告書などの文書で利用した経路及び料金を記録保存することで経費支出の証明となります。こちらも、インボイス制度導入後も領収書が出ない交通費の場合はあらためて領収書などの交付を受ける必要はなく、出張報告書などの保存で問題ありません。

    通勤費はどこまで

    従業員の通勤費については事業者が業務遂行のために必要な経費として税務上事業者の経費となる一方、給与の支払ではなく事業者自身が直接交通機関等に支払ったとみなし消費税の仕入控除を受けることができ、従業員にとっても給与に関する所得税が非課税となります。
    では、どこまで認められるのでしょうか。電車やバスで通勤している場合、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額が認められる取扱いになっています。つまり、距離のみならず、時間や運賃も考慮するということです。多くの場合最短経路が時間も早く運賃も安いですが、電車の種別や混雑状況によって変わる可能性もあります。事務担当者や調査官に明らかに自分の好みで回り道しているなと感じさせない程度の経路であれば認められる感覚でしょうか。記事を書いている私は時間があると気分転換につい回り道をしたくなる性分なので感覚がわかります。なお、月支給額は最大15万円とされ、仮に合理的な経路であったとしても15万円を超えるた部分は給与扱いとなります。また、首都圏の電車によくあるグリーン料金や座席料金は非課税の通勤費に含まれず事業者が支給した場合給与扱いとなります。
    一方、私の事務所がある札幌をはじめ地方では交通機関が整っておらず、マイカー通勤をするケースが多くあります。また、近年健康と環境保全のために自転車で通勤する人も増えています。その場合でも最短経路の距離に応じて非課税限度額が定められており、限度額の範囲内で通勤手当を支給した場合は給与ではなく事業者負担経費として認められます。詳しい限度額は下記リンクをご参照ください。
    なお、給与所得非課税の範囲内になる通勤手当について仕入税額控除を受けるためのインボイス対応は、賃金台帳等に該当する通勤手当を明記することでよく、改めて従業員や交通機関などからインボイスの交付を依頼する必要はありません。
    国税庁HP No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
    国税庁HP No.2585マイカー・自転車通勤者の通勤手当

     

    海外出張時の取扱い

    ここまでは国内での旅費交通費の取扱いについてお話しました。2020年、2021年とコロナ禍で渡航制限が出て一時的に激減しましたが、今後は経済活動の再開で海外出張に行くことのが増える方もいるのではないでしょうか。ここでは海外出張の旅費の税務上の取扱いについてお話します。
    海外出張の場合も国内と同様、通常必要と認められる部分が事業経費として計上できます。つまり、目的地までの移動に必要な交通費と出張期間中の宿泊費です。通常必要と認められる部分に含まれない例としては、
    1.出張の合間の観光のための交通費及び宿泊費
    2.移動の際の座席オプション料金やグレードの高い部屋での宿泊費
    です。海外出張によくあるのが、めったにない折角の機会なので出張中に観光することです。1.のケースに当てはまりますが、どこまでが出張に必要でどこまでが観光目的なのか不明確なまま経理すると税務調査の際全て観光目的とされ経費計上できないと指摘される可能性があります。そこで、国内出張でもそうですが必ず旅程表(旅のしおり)を作成し、仕事と観光の区分が明確になるようにすることをお勧めします。また、出張先で会食代を負担した場合交際費認定され経費計上が制限されることがあります。例えばランチミーティングのように食事を交えた会議であれば、確実に経費計上できるよう議事録の作成をお勧めします。
    なお、同業者団体などが研修旅行と称して海外団体旅行を企画することがありますが、法人業務に直接関連しないものがない限り事業経費として認められないとされていますので、団体旅行の場合も旅程がわかるよう記録を残すことをお勧めします。
    国税庁HP No.5388 海外渡航費の取扱い

    おわりに

    今回は、旅費の税務上の取扱いについてお話しました。コロナ禍で通勤や出張が減り、リモートツールが普及してきたことから通勤や出張の機会も長期的に減少するでしょう。機会が減ると事務的な取扱いを忘れ思わぬミスを起こしやすくなります。思わぬミスを減らすためにも、人事や経理などの事務担当者やこれから出張をされる方は今一度旅費の取扱いを確認して頂きたいところです。ワーケーションの際の交通費や宿泊費の取扱いは国税庁から明確な取扱いが出ていませんので、はっきりこうだと申し上げられませんが、事業者が交通費や宿泊費を負担する場合業務上必要かどうかで経費計上できるかというところになるでしょう。

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。