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個人事業主の家事按分|札幌で税理士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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2022/02/10

はじめに

来週2月16日より1ヶ月にわたり確定申告の受付が始まります。個人事業主にとって悩むのが事業と家事共用で使用している部分の経費の取扱いです。所得税法第45条第1号では家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるものはその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しないと規定されています。明らかに事業関連または家事関連と分かるものについてはその取引が必要経費にするかどうかの判断だけでよいのですが、事業と家事共用ですと完全にどちらか一方にすることは実態からみても不合理です。そこで、何らかの基準で事業と家事の利用割合を割り出し、経費のうち事業利用割合相当額のみ必要経費として所得計算に含め、この手続を「家事按分」と呼びます。今回は家事按分について共用することが多い以下のものについて家事按分の基準と算定方法をいくつか紹介します。
1.家賃
2.水道光熱費
3.車両関連費
4.損害保険料
5.通信費
6.減価償却費

家賃

個人事業の中には自宅をオフィスとして使用しているケースが多くあります。自宅をオフィスとして利用している場合、賃貸借契約書上は自宅用または事業用のいずれか一方で賃借していることが多く家賃や共益費、駐車場代は明確に事務所部分と自宅部分とが分かれていません。この場合、家賃などを必要経費に算入する際事業使用割合を算出して事業利用部分だけ必要経費に算入します。では、どのような方法があるのでしょうか。いくつか例を挙げます。
1.事務所スペースと自宅スペースが明確に分けられている場合:面積割合
2.仕事時間と家事時間の割合が年間通してほぼ一定の場合:1日または1週間あたりの仕事時間割合
3.仕事時間は日によってまちまちだが年間の合計のおおよそはわかる場合:年間あたりの仕事時間割合
4.自宅で仕事に従事している同居者が複数いる場合:同居者の従事人数割合
上記に掲げた基準はあくまで参考であり、この方法でないといけないというものではありません。中には複数の場合に当てはまる方もいらっしゃるのではないでしょうか。複数の場合に当てはまるときはより計算が単純なほうを選んではよいのではないでしょうか。仮に税務調査などで按分割合について質問された場合、合理的な実態をわかりやすく客観的に説明できることで説得力が増すからです。

水道光熱費

自宅で事業を営んでいる場合、電気や暖房も自宅と共用となるケースが多々あります。こうした光熱費は家賃と異なり、月々の使用量に応じて料金が変動します。その使用量の増減が事業によるものなのか、家事によるものなのか、はたまた両方なのか異なります。理想的な按分方法は事業と家事の使用量割合に基づく方法ですが、現実的に使用料を厳密に算定するのは困難です。そこでほとんど全ての方が該当する電気代については以下に掲げる簡便的な方法で家事按分割合を出すと良いでしょう。
1.店舗や工場など事業による電力使用が多い場合:営業時間による按分、事業割合を(事業部分床面積×営業時間)÷(総床面積×24時間)で算出する按分
  もっとも、店舗や工場の契約が家庭と別契約であれば店舗や工場の契約を全額必要経費とし、家庭の契約を家事費として所得計算から除外します。
2.電力消費自体は多くないが事務所スペースと自宅スペースが明確に分けられている場合:業務時間割合による按分、コンセント(照明含む)数割合による按分、面積割合による按分
3.事務所スペースと自宅スペースが共用だが業務時間が明確に分けられている場合:業務時間割合
4.事務所スペースと自宅スペースが共用で業務時間が不明確な場合:50%とする
暖房代や水道代については、販売またはサービスを提供するために暖房や水道が事業スペース内に独立して存在しているかどうかが重要です。事業スペースに独立して暖房や水道が存在していれば蛇口やトイレの数、暖房の数など客観性の高い方法で按分できます。一方、暖房や水道が事業家事共用ですと、明確な按分が難しくなります。暖房代ですと作業時間割合で按分する方法が考えられます。水道は自宅で事業を行う場合販売やサービスに直接関係することは少ないと思われます。事業で水道を使用する場合はおおよその使用量を図っておくと良いでしょう。

車両関連費

自宅と並んで事業と家事共用となることが多いのが自家用車の共用です。自宅と異なり長時間利用することは少なく大半を事業で使用する方も多くいらっしゃいます。
お客さんのところへ行ったり自宅と事務所が別の場所にある場合に通勤に使ったりすることが大半で、買い物やレジャーでの利用は使用割合の半分に満たないのであれば、家事按分をせず全額必要経費算入する考え方もあります。一方、買い物やレジャーでの使用が主で業務利用は車でないといけないお客さんへ行く程度などの場合はいかがでしょう?例えば以下の方法があります。
1.走行距離割合按分:現在私が事務所の経費計算に用いている家事按分の方法です。毎日走行距離と目的地を記録しそのうち事業での走行距離の割合を事業経費算入割合としています。
2.利用日数按分:走行距離記録をとることは、車が商売道具である運送業以外の業種ではあまりないと思われます。そこで考えられる方法は車に乗った日のうち、業務で利用した日の割合を事業経費算入割合とするものです。むろん、毎日使用するとは限りませんし、正確に日数を計算するのは走行距離記録をとるのと負担が変わりませんので1ヶ月30日のうち事業使用した日が何日か、あるいは1年365日のうち事業使用した日が何日かおおよその割合で構いません。
この他に事業と家事の利用割合を合理的に説明できる基準があればその基準で差し支えありません。
ここまでお読みになった方の中には「車両関連費って具体的に何?」と思った方がいらっしゃると思います。例えば以下の経費が車両関連費として上記の家事按分割合(経費算入割合)の基準を用いることになります。
・ガソリン等の給油代
・自宅駐車場代(先述の賃料の場合の家事按分割合を使うこともあります)
・車検等の検査代
・車の修理代
なお、コインパーキング代は駐車場利用目的が明確な場合が多く、駐車の都度事業経費または家事経費のいずれか一方に算入することになります。また、高速(有料)道路料金やフェリー代も移動で高速(有料)道路やフェリーを使う目的が明確な場合が多く、利用の都度事業経費または家事経費のいずれか一方に算入することになります。

近年、EV(電気自動車)が話題になっていますが、EVスタンドで充電した場合の充電料金は給油と同じ取扱いになります。一方、自宅で充電した場合は他の電気代と一緒に請求される場合、先述の電気代の家事按分基準では利用実態と不合理になることがありますが、EV充電量を正確に把握することが困難であれば他の電気代と一緒に先述の家事按分基準で按分することになるでしょう。

損害保険料

損害保険料と一括りにしましたが、損害保険料の家事按分は保険の対象となっている物あるいはサービスに合わせるのが合理的です。よくある損害保険料の家事按分については以下の通りです。
・自宅の火災保険料(災害保険含む):賃料の家事按分で使った基準と同じ基準
・自家用車の自動車保険料や自賠責保険料:車両関連費の家事按分で使って基準と同じ基準
・自宅の地震保険料:賃料の家事按分で使った基準と同じ基準(家事経費部分については、所得控除のうち地震保険料控除の対象になります)
・賠償保険料:業務中の事故に関するものがほとんどで全額必要経費算入
・傷害保険料:業務中、業務外問わず保険金が出るタイプの保険であれば全額家事経費
・医療保険料、介護保険料:個人のケガや病気に対する保険のため全額家事経費とし、所得控除のうち生命保険料控除の対象
なお、生命保険料については保険事故に事業関連性が問われないため全額家事経費とし、所得控除のうち生命保険料控除の対象とします。

通信費

特にフリーランスの方に多いのですが、インターネットや携帯を事業とプライベート共用としていることがあります。こうしたインターネットや携帯の毎月の利用料金は固定価格と利用比例価格が併存しています。利用料比例であれば事業部分と家事部分のおおよその利用割合を家事按分基準として毎月の利用料に事業利用割合を掛けたものが必要経費となるでしょう。
やや複雑なのが固定料金契約の場合です。毎月事業と家事の利用割合が大きく変動しないのであれば上記のおおよその利用割合が合理的な家事按分基準となるでしょう。一方、仕事に季節変動があり利用割合がその時々で異なる場合もあります。その場合はどうすれば合理的になるのでしょうか。例えば、リゾート関連事業のように繁忙期と閑散期が毎年一定なのであれば繁忙期と閑散期の割合で按分する方法もあるでしょう。繁忙期と閑散期が年によって変わる場合は月ごとにおおよその利用割合を算出し月々の通信費に割合を掛けて12ヶ月分合計する方法や、1年間12ヶ月のうち繁忙期となった月数の割合を事業経費算入割合とする方法も考えられます。
いずれにしても、通信費の家事按分比率は各人の利用スタイルに合わせたものにすることが最も合理的といえるでしょう。

減価償却費

建物、機械、PC、スマートフォン、自動車など数年間使用できるのうち、10万円を超える高額なものについては購入時に全額を経費とせず、平均的に使用する年数にわたって均等に費用処理をします。このような費用処理を「減価償却」といい、減価償却によって計上される費用を「減価償却費」といいます。平均的に使用する年数といっても人により異なり主観的になるため、確定申告では「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」という財務省令に掲載されている年数を使用することになっています。
上記に掲げたものは個人事業主の場合、事業家事共用であることが多くあります。家事按分基準として例えば以下の基準が考えられます。
・建物などの不動産:賃料に準じ、面積割合や作業時間割合で按分
・機械、PC、スマートフォン、自動車などの動産:利用割合を示す、使用時間割合や使用量割合で按分
建物をローンで購入・建設することも多くありますが、ローンの支払利息も事業経費算入でき、減価償却費と同じ按分割合で家事按分するのが合理的であると考えられます。
なお、土地については半永久的に使用できるとの考え方から減価償却をしません。そのため、土地の購入費は事業経費になることがありません(土地を処分したときは事業用であったとしても一律譲渡所得の対象です)し、家事按分の議論もありません。

おわりに

 まとめ

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