公認会計士・税理士熊谷亘泰事務所

令和4年度税制改正大綱②税理士業界も変わっています|札幌で税理士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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令和4年度税制改正大綱②
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令和4年度税制改正大綱②税理士業界も変わっています|札幌で税理士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

2021/12/24

目次

    税理士を取り巻く環境は年々変わっています。環境の変化を受けて税理士法の改正議論が行われています。そのような中、令和4年度与党税制改正大綱に税理士法改正に関する事項が掲載されていましたので、今回是非税理士の現状を知って頂きたく取り上げます。

    税理士の業務の電子化等の推進

    この項目は税理士及び税理士法人に業務の電子化を推進し納税者の利便性向上と業務改善の進歩を求める努力規定を設けようとするものです。あわせて、税理士会及び日税連の会則に電子化推進に関する規定を加えるよう求めるものです。税理士業界は電子化が遅れていると言われますが、ピンからキリまであり電子化に積極的な事務所も少なくありません。当事務所もその一つですが、あえて努力規定を設けるのは政府が進める電子化を推進するためには、税務行政に関わる税理士業務を電子化することが不可欠であるということでしょう。
    繰り返しになりますが、当事務所は業務の電子化を、電子ツールやソフトの進化と共にたゆまず推進し、業務効率化とサービス品質向上を図っております。

     

    税理士事務所の該当性の判断基準の見直し

    税理士事務所として適当かどうかついて現在は設備や使用人など物理的に税理士事務所たる存在があることが要件になっています。読んだ方の中には当然ではないかとお思いの方のいらっしゃるかと思いますが、今回の与党税制大綱ではこの物理的要件を見直すとされています。近年はテレワークやリモートワークが普及し始めており、必ずしも同一のオフィスで仕事をしているとは限りません。
    もちろん、テレワークやリモートワークでクライアント(関与先)の情報が他の第三者に漏洩しないよう十分注意しなければなりませんが、柔軟で多様な働き方を推進したいという意図は理解できます。また、当事務所もクライアント(関与先)や職員が柔軟かつ負担がかからないようにするため、セキュリティ対策を施したうえで柔軟な働き方を推進する方針です。

     

    税理代理の範囲の明確化

    今回の与党税制改正大綱によりますと、申告や税務調査対応など税務代理を行うにあたって前提となる通知を、税務代理権限証書に記載された税理士または税理士法人が受けることができる旨を明確化するとされています。現在の実務でも税理士が納税者の代行している場合は多くの場合税務代理権限証書に記載された税理士や税理士法人に通知されますが法令に明確な規定がなく顧問税理士がいても直接納税者に税務調査の実施通知をし納税者や顧問税理士が十分かつ適切な調査対応ができないことがあります。法令での明確化により、税務当局は法令順守のためまず税務代理をすると宣言している税理士へ通知することが大原則となり、的確かつ適切な税務行政への一助になると私は思います。
     

    税理士試験の受験資格要件の緩和

    今回の与党税制改正大綱によりますと、税理士試験について会計学に属する科目(簿記、財務会計論)の必須合格を不要とし、受験に必要な資格のうち大学等で履修した科目を経済学または法律学に属する科目の履修から社会科学に属する科目の履修に拡充するとされています。同じ会計系国家資格である公認会計士と比較し、税理士試験の受験要件が厳しく受験者の減少につながっているとの声を受けたものと思われますが、税金に関する知識は会計学の知識があって初めて理解できるものです。公認会計士でもある私だから申し上げるのですが、会計学に属する科目の受験不要は表面的理解にとどまる税理士を増やし、税理士全体の品質を低下させるものと危惧しています。
    一方、社会科学に関する科目の履修については受験の幅を広げるという意味では賛成なのですが、実際に改正される場合、社会科学に属する科目が具体的に何なのか、また、時代の変化による学び方や学問体系の変化にどう対応するかが気になるところです。

     

    税理士法人制度の見直し

    税理士法人が行う業務に現行法の税理士業務(税務代理、税務書類作成、税務相談)及び財務に関する事務に加えて、租税教育と成年後見等他人の法律行為の代理を追加するとされています。現行法では租税教育と法律行為代理は税理法人所属の税理士でも税理士個人で行うものとされ、所属する税理士法人と利益相反になったり、業務調整が煩雑になったりして、租税教育や法律行為代理の阻害要因になっていると言われています。
     

    懲戒処分に関する決定事項の創設

    今回の税制改正大綱によりますと、税理士だった者が税理士であった期間内に懲戒処分の対象となる行為又は事実があった場合、財務大臣名で懲戒処分の種類を明らかにしたうえで処分を受けるべきであったことについての決定をすることができるとされています。
    現行の税理士法では現に税理士登録されている者に対してのみ懲戒処分の対象となっており、一度税理士登録を抹消すると処分に問われにくい状態となっています。つまり、脱税相談や税務法令違反などを犯しても、処分にかかりそうになる前に税理士登録を抹消することで処分を逃れうる状態なのです。逃げ得を防止すると共に更なる法令順守意識の向上を図るものになるでしょう。一度処分対象となる行為を犯すことがわかると形式的には税理士でなくなっていても、お天道様がちゃんと見ているということが明文化されるようで、税理士の一人である私としては身が引き締まる思いです。
    また、税理士登録抹消後に懲戒処分のうち業務停止処分となり、停止期間中である者は再度税理士登録することができないことも盛り込まれています。

     

    懲戒処分等の除斥期間の創設

    懲戒処分に関する決定事項の創設とは相反するように見える事項なのですが、税理士法等違反による懲戒の事由が発生してから10年を経過すると懲戒の手続を始めることができないとされています。 一種の時効のようなものですが、趣旨としては迅速な懲戒処分を促すものと思われます。
     税務調査の能力と対象期間からいって、脱税ほう助や税法違反などの懲戒事由が発覚するのが10年もたってからということはごく稀でしょうが、懲戒事由の発覚が10年以上も後になるとお咎めなしとなるのは10年間情報を隠蔽しておく逃げ得を許すのでないかと危惧します。

     

    税理士法に違反する行為又は事実に関する調査の見直し

    先ほどの懲戒処分に関する決定事項の創設で過去税理士であった者に対しても税理士法に規定する懲戒処分の対象となりうる旨の改正を盛り込んでいることをお話しましたが、税理士法違反に関する調査の対象も現に税理士登録されている者だけでなく、過去税理士であった者や税理士業務の制限違反(税理士又は税理士法人でない者の税務代理・税務書類作成・税務相談の禁止)、名称使用違反をした者(税理士資格が無い者の税理士事務所や税理士法人、税理士会、日税連との誤解を与える名称使用の禁止)のも調査対象に含めるとされています。
    いわゆる非税行為やニセ税理士行為といった違反行為への対応が主なのですが、正規の税理士登録をしている我々税理士としては、顧客が一見税金知識やサービスで特に問題ないように思える非税行為やニセ税理士行為を行う者に依頼することを防止するため、定期的な研鑽に努め顧客に親身に対応することが大切であると身の引き締まる思いです。

     

    税理士法第33条の2に規定されている書面添付制度の見直し

    今回の税制改正大綱によりますと、税理士が税理士法第33条の2に規定されている申告書への書面添付について、税理士の実務を踏まえた書面様式の簡素化を行うとされています。書面添付制度につきましては以前のブログ記事で詳しく触れていますが、税務当局に対する申告内容に関する説明書にあたります。現行の書面様式は作成する税理士事務所としては必ずしも書き勝手の良い様式ではなく申告書作成で時間がかかる中添付書面の作成にも負担がかかり、書面添付をためらう税理士事務所も多くあります。
    税理士業界全体での書面添付制度の趣旨理解が何より重要ではありますが、税理士実務に配慮した様式になることで書面添付の拡大につながると税理士の信頼も上がると考えます。当事務所では、月次関与先につき十分に取引内容を確認できている状態であれば漏れなく確定申告時に書面添付を行い、納税者と税務当局、ひいては金融機関との懸け橋の一つを担う方針です。

     

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