【令和7年8月リライト】免税店における輸出免税|札幌で税理士・公認会計士に相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!
2025/08/29
目次
はじめに
2025年に入っても昨年に引き続きインバウンド客が回復しています。インバウンド客がお土産などを買うと免税対象店舗で購入しますが、具体的に何が免税になりどのような仕組みになっているのか気になる方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は免税制度について今後の改正点を含めて解説します。特に免税販売をされている方、免税販売を検討中のお店の方は必見です!
免税店における輸出免税の概要
はじめにここでいう免税とは何を指すのか具体的に申し上げますと、消費税が免税されるという意味です。消費税は日本国内での消費に対して販売額の10%(飲食料品の譲渡は8%の軽減税率)の税金をかけるものですが、外国から来た人が日本国内で物品を購入し国外へ持ち出して外国で消費される場合、通常レジ等での精算時に消費税を取られますが結果として日本国内で消費されないため消費税が免除されることになります。そのため、外国に持ち出す場合購入時に免税対象とすることをお店で申請します。申請といってもどのお店でもできるわけではなく、免税にした状況を税務当局が正確に把握できるよう、免税の取扱いをするお店は所轄の税務署に免税販売所許可を受ける必要があります。つまり、実際には日本国内で消費される可能性があるにもかかわらず免税にすることにして客に販売して消費税逃れを防止しているのです。
申請に当たっては、輸出物品販売場許可申請書に以下の書類を添付して所轄の税務署に免税販売場許可を申請します。
- 許可を受けようとする販売場の見取図
- 社内の免税販売マニュアル
- 申請者の事業内容が分かるもの(会社案内、ホームページ掲載情報があればホームページアドレス)
- 許可を受けようとする販売場の取扱商品(主なもの)が分かるもの(一覧表など)
申請後所轄の税務署では以下の点を審査して許可の是非を決定します。
- 次のイ及びロの要件を満たす事業者(消費税の課税事業者(※)に限る。)が経営する販売場であること
イ:現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る。)がないこと。
ロ:輸出物品現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る。)がないこと。 - 現に非居住者の利用する場所又は非居住者の利用が見込まれる場所に所在する販売場であること。
- 免税販売手続に必要な人員を配置し、かつ、免税販売手続を行うための設備を有する販売場であること。
上記の申請は事業者単位ではなく販売場(店舗)ごとに行う必要がありますが、提出先は事業者の納税地を所轄する税務署1か所となっています。
こうして免税販売場許可がされると正式に免税販売ができるようになります。
現行免税手続
免税店許可を受けたお店に入って実際にどのように免税手続を行うのでしょうか?何か申請書を使って描くのかと思う方もいらっしゃるかと思いますが、手続のペーパレス化と国税当局による迅速な免税申請捕捉のため、2021年(令和3年)10月1日以降従来の紙による免税販売はできなくなり、国税庁が承認した免税申請システムによる電子申請が義務化されています。
免税店での免税販売の流れは以下の通りです。
- 旅券(パスポート)等の提示を受けます。
- 非居住者であることを確認します。
- 必要事項を説明します。
- 免税対象物品の引渡しをします。
引渡後、免税店舗では以下の手続を行います。
- 国税庁へ購入記録情報を送信します。
- 購入記録情報を保存します(約7年)。
従来の紙の書面での手続ですと、パスポートに「購入記録票」という紙を割印を押して貼付する必要がありましたが、電子化後はその必要が無くなり販売時の手続き時間及び負担が軽減されました。ただし、出国検査までに開封されることを防止すると共に、出国検査時に品目と数量がわかるように包装することが求められています。
観光庁HP|免税店になったら
日本出国時の手続
消費税免税は日本国外での消費を前提にした制度であるため、当然日本出国時に国際空港や国際港にある税関で免税で購入した商品が国外持出品として間違いなくあることを確認する一方、輸出禁止品が含まれていないことを確認する検査を受けることになります。
従来の紙による手続ではパスポート等に貼り付けられた「購入記録票」と現品を照合し「購入記録票」を税関に提出していましたが、電子化された現在はパスポートを呈示し所定の包装がされた現品を確認する形になりました。免税登録されているかどうかは国税庁が管理する免税申請一覧データを照会する形になっています。
なお、輸出禁止品については以下のリンクの税関ホームページに掲載されていますのでご参照ください。
https://www.customs.go.jp/mizugiwa/kinshi.htm
2026年(令和8年)11月以降の新しい方式
ここまで現行の免税販売の流れについて説明しましたが、近年アジア系の外国人を中心に購入時に免税申請を行って免税を適用しその後国内で転売行為を行って不正に消費税の課税逃れを図る行為が増加していました。現行の制度では出国時に確認することなっていることから、国内で所定の包装を開けてしばらく出国しなければ免税適用要件に該当するのか確認されることなく免税が受けられる欠陥がありました。そこで、2026年(令和8年)11月1日から出国時になって免税分の消費税を還付するいわゆる「リファンド方式」が導入されます。
リファンド方式のポイントは、
- 免税店は、外国人旅行者等(免税購入対象者)に対して、税込価格 (課税)で免税対象物品を販売する
- 免税購入対象者は、免税対象物品を国外に持ち出すことにつき購入日から 90日以内の出国時に税関の確認を受ける
- 免税店を経営する事業者は、購入記録情報と持出しを税関が確認した旨の情報 (税関確認情報)を保存す ることで、免税の適用を受ける
- 免税店を経営する事業者は、この確認後に免税購入対象者に消費税相当額を返金する
ことです。つまり、実際に90日以内の出国が確認されて初めて免税される制度に抜本的に変わります。現行の制度では免税が店舗販売時に行われていますが、リファンド方式では出国後店舗または承認送受信事業者等(免税システム運営業者など)が外国人旅行者等が指定した方法で消費税免税分を返金する形になっています。
また、免税販売店側の経理処理は現行の制度では販売時に免税販売売上について輸出免税としますが、リファンド方式になると販売時は免税が適用されていないためいったん課税売上として処理し、免税販売管理システムで免税適用が確定し免税分返金が確定した時点で売上高について免税売上に変更し、返金分を売上高または仮受消費税から除外する形になります。
なお、国税庁HPリファンド方式Q&Aによりますと販売時と免税適用確認時の会計期間が異なる場合は継続適用を条件に販売時はいったん課税扱いにして消費税を納付申告し免税適用確認時に事後的に免税分の消費税の還付を受ける形にすることができます。
輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し|国税庁
おわりに
今回は日本国内での免税の仕組みについて解説しました。免税販売は消費税と類似する税金を導入している国においては貴重な外貨獲得源になりますが、その一方で不特定多数の外国人来訪者が利用するため不正な利用が起こりやすい制度でもあります。また、免税申請した商品を日本国内で消費した場合に本来購入者から徴収すべき消費税の徴税逃れ対策がこれまで不十分であったため、令和7年度税制改正で抜本的な制度変更が行われました。
海外から来た人にとって現地の税制をよく理解していないケースも多いため、旅行前に免税制度に関する理解ができるよう多くの日本旅行紹介サイトで周知する、また、入国手続フロアなどで日本の免税制度についてあらかじめ周知するなど、外国人観光客の免税制度の機会を逃さないようにすることが引き続き必要でしょう。


