地方税解説シリーズ⑧(その他の地方税)|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!
2025/07/25
目次
はじめに
地方税解説シリーズ第8回目はその他の地方税について取り上げます。第7回まで特に登場することが多く論点の多い地方税を取り上げました。この他にも登場することのある地方税がありますので今回取り上げます。なお、ここで取り上げる地方税は地方税法に規定されている全国一律のものであり、自治体が独自に制定している税金については次回第9回で取り上げます。
なお、各回のテーマは以下の通りです。
第1回 地方税の種類
第2回 個人所得課税
第3回 法人所得課税
第4回 事業税
第5回 不動産課税
第6回 自動車課税
第7回 事業所税
第8回 その他の地方税(今回)
第9回 法定外税
第10回 国民健康保険
番外編 宿泊税
地方消費税
今回最初に取り上げるのは地方消費税です。地方消費税という言葉はあまりなじみがありませんが、日常出てくる消費税(国税)と一体で課税されるため普段の経済活動ではあえて区別しないのです。
地方消費税制度は1997年(平成9年)に創設され、現在は消費税10%のうち2.2%、軽減税率8%のうち1.76%が地方消費税に相当します。地方分権推進を目的に消費税の一部を地方税としたものです。申告は消費税申告の際に一括して申告し申告納税は本社のある地域を管轄する税務署に行います。
その後、地方消費税部分が税務署から本社のある地域の都道府県に分配されます。ここで問題となるのが本来消費税は最終消費者負担であるにもかかわらず、最終消費地ではない都道府県に税収が配分されることです。この問題に対応するため都道府県ごとの消費に関する統計データなどを基準として、お互いの税収を調整する清算制度があります。
なお、国税である消費税のうち2分の1は人口(国勢調査)と従業者数(経済センサス活動調査)を按分割合として市町村に交付金として分配されます。
総務省HP|地方消費税
たばこ税
次にたばこ税について取り上げます。たばこ税は消費税同様に国税部分と地方税部分があり一体で課税されています。国税部分のたばこ税の課税対象は
- 日本国内でたばこを製造し製造場(保税地域内含む)から出庫したもの(製造場内での喫煙等自家消費を含む)
- 保税地域から製造されたたばこを引き取ったもの(保税地域内での喫煙等自家消費を含む)
です(たばこ税法第4条~第6条)。一方、海外に輸出する目的の製造たばこについては輸出免税が適用されます(たばこ税法第14条第1項)。実務上はたばこ製造工場出荷時点ではなく製造会社から別の相手先に出荷された段階で課税されます。よって、たばこ税の負担及び納付はたばこ製造者またはたばこ輸入者が行います。たばこ製造者は毎月製造場からの出荷数量を翌月末までに製造場のある税務署及びに申告し納付します。また、たばこ輸入者は保税地域からの引き取りの際に税関に関税や消費税と一緒にたばこ税を納税します。
たばこ税額は紙巻たばこ本数換算で1,000本あたりで定められており、葉巻たばこや刻みたばこ、加熱式たばこなどの場合について紙巻たばこ換算本数が定められています。地方税法上の税率は1,000本あたり6,802円(保税地域引き取りの場合14,424円)(たばこ税法第11条)ですが、現在は特例措置として2026年(令和8年)3月31日までは1,000本あたり7,622円(保税地域引き取りの場合15,000円)となっています。
一方、地方たばこ税はたばこを小売業者に引き渡したもの(業者によるに対して課税され国税とは異なるタイミングで課税されます。そのため、課税対象者もたばこ卸売業者、たばこ製造者、たばこ輸入者の3者が申告納税者となりえます(地方税法第74条の2、第465条)。たばこ売渡業者は毎月小売業者等への出荷数量を翌月末までに売渡先の事業所がある都道府県及び市町村にそれぞれ申告し納付します(地方税法第74条の9、第74条の10、第472条、第473条)。地方たばこ税額も紙巻たばこ本数換算で1,000本あたりで定められており、葉巻たばこや刻みたばこ、加熱式たばこなどの場合について紙巻たばこ換算本数も国税部分と同じです。都道府県たばこ税は1,000本あたり1,070円(地方税法第74条の5)、市町村たばこ税は1,000本あたり6,552円(地方税法第468条)です。
たばこ税の負担はたばこ販売価格を通して実質的に消費者が負担することになりますが、たばこの消費ではなく業者への引き渡しに課税される形になっているため、理論上消費税との二重課税にはならずたばこ税部分にも消費税が課税されるのです。
入湯税
続いて入湯税について取り上げます。入湯税は入湯施設の利用と市町村の行政サービスとの関連に着目し、鉱泉浴場所在の市町村が課する目的税です。その使途は、環境衛生施設の整備、鉱泉源の保護管理施設の整備、消防施設その他消防活動に必要な施設の整備、観光の振興(観光施設の整備を含む)に要する費用に充てることとされています。つまり、温泉地の維持発展に使うための税金です。
温泉利用者の1日の入浴に対して課税され、1人1日につき150円と定められています(地方税法701条の2)。納税は温泉利用者が直接市町村に納付することはなく、温泉施設が入浴料や宿泊料などの一部として利用者から徴収し、温泉施設は原則として毎月末日までに前月1か月分の入湯税を集計して市町村に申告する形で行います(地方税法第701条の3、第701条の4)。なお、市町村によっては納期が異なる場合がありますので、詳しくは各市町村の条例やHPなどでご確認ください。
総務省HP|入湯税
ゴルフ場利用税
続いてゴルフ場利用税について取り上げます。ゴルフ場利用税は、ゴルフ場が、開発許可、道路整備、防災、廃棄物処理などの地方公共団体の行政サービスと密接な関連を有していること、また、ゴルフ場の利用料金は、他のスポーツ施設の利用料金と比較して一般に高額であり、その利用者の支出行為には、十分な担税力が認められることに着目して、ゴルフ場の利用者に課税する普通税です。前述の入湯税とは異なり、税金の使途は特に決まっておらずゴルフ場利用者の納税能力やゴルフ場が得る行政サービスの恩恵に着目した税金です。
ゴルフ場利用税は都道府県が課税し、地方税法に規定する標準税率は1人1回800円で各都道府県の事情に合わせて条例で1,200円までの超過課税ができます(地方税法第76条第1項、第2項)。当事務所の所在する北海道では利用時間やホール数などで80円刻みの400円~1,200円の段階課税となっています。一方、負担能力やスポーツ振興、健康増進などの観点から18歳未満・70歳以上・障害者、国体・国際競技大会のゴルフ競技(公式練習を含む)や学校の教育活動に対しては非課税となっています(地方税法第75条の2、第75条の3)。
納税はゴルフ場利用者が直接都道府県に納付することはなく、ゴルフ場がプレー代金の一部として利用者から徴収し、ゴルフ場は原則として毎月前月1か月分のゴルフ場利用税を集計して都道府県に申告する形で行います(地方税法第82条、第83条)。北海道では毎月15日までに前月1か月分のゴルフ場利用税を集計してゴルフ場所在地を管轄する道税事務所または振興局に申告納付します。
なお、ゴルフ場利用税は都道府県税ですが税収の70%はゴルフ場所在の市町村に交付されることになっています。
総務省HP|ゴルフ場利用税
おわりに
まとめ 防衛特別たばこ税、狩猟税について触れる
今回はその他の地方税として、地方消費税、たばこ税、入湯税、ゴルフ場利用税を取り上げました。ここで狩猟税について軽く触れます。狩猟税は鳥獣等の保護の目的で狩猟者登録をしている者に対して年額の形で都道府県から課税されます。狩猟税は地方税法に定める目的税ですが、今回は取り上げませんが他にも目的税として地方税法に定められている税金があります。
最後にたばこ税(国税部分)については令和7年度税制改正で防衛財源確保の名目で以下の通り段階的に引き上げられます。
- 2027年(令和9年)4月1日~:1000本あたり7,302円(輸入たばこ:14,924円)
- 2028年(令和10年)4月1日~:1000本あたり7,802円(輸入たばこ:15,424円)
- 2029年(令和11年)4月1日~:1000本あたり8,302円(輸入たばこ:15,924円)
たばこ税の引き上げについてはこれまでも頻繁に行われているため、改正動向に注目すべき税金の一つです。


