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地方税解説シリーズ⑦(事業所税)|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

2025/07/18

目次

    はじめに

    地方税解説シリーズ第7回目は事業税について取り上げます。第4回で事業税を取り上げましたが、似て非なる税金です。事業税は課税されるケースが限定されますが、課税される場合それなりの負担が生じます。今回は、課税されるケースや仕組みを中心に事業所税の解説をします。
    なお、各回のテーマは以下の通りです。
    第1回 地方税の種類
    第2回 個人所得課税
    第3回 法人所得課税
    第4回 事業税
    第5回 不動産課税
    第6回 自動車課税
    第7回 事業所税(今回)
    第8回 その他の地方税
    第9回 法定外税
    第10回 国民健康保険

    番外編 宿泊税
     

    事業所税の対象

    では概略的に事業所税について説明します。
    事業所税は、人口30万人以上の都市等が都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てるため、都市の行政サービスと所在する事業所等との受益関係に着目して、事業所等において事業を行う者に対して課する目的税です。その使途は道路、都市高速鉄道、駐車場等交通施設、上下水道等の都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てることとされています。(総務省HP|事業所税より)
    つまり、課税できる自治体は東京23区及び比較的大きい都市に限られています。課税対象者は課税する自治体に事業所がある企業で、複数の課税自治体に事業所がある場合はそれぞれの自治体から事業税が課税されます。
    課税標準は従業員数と事業所面積でそれぞれに税率を掛けた金額の合計が税額となります。事業所税の計算は個人事業者は毎年12月31日時点、法人は事業年度末日時点の従業員数と事業所面積で各事業者が行い、対象の自治体に申告します。申告期限は個人事業者は確定申告と同じ翌年3月15日、法人は法人税等申告と同じ事業年度末日から2か月経過日までに行います。

     

    うちの地域は課税対象?

    ここでは具体的に事業所税を課税している都市について説明します。地方税法第701条の31第1項第1号に課税自治体となる「指定都市等」の定義が規定されています。

    1. 地方自治法第252条の19第1項の市
    2. 1.に掲げる市以外の市で首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域を有するもの
    3. 1.及び2.に掲げる市以外の市で人口(官報で公示された最近の国勢調査の結果による人口その他これに準ずるものとして政令で定める人口をいう。)三十万以上のもののうち政令で指定するもの

    1.の市とはいわゆる政令指定都市のことです。地方自治法第252条の19第1項では政令で指定した市の事務について規定されており、「政令指定都市」の名称通り具体的な市は「地方自治法第252条の19第1項の指定都市の指定に関する政令に以下の通り列挙されています。
    大阪市 名古屋市 京都市 横浜市 神戸市 北九州市 札幌市 川崎市 福岡市 広島市 仙台市 千葉市 さいたま市 静岡市 堺市 新潟市 浜松市 岡山市 相模原市 熊本市
    2.の都市についても政令で具体的に列挙され、首都圏整備法施行令第2条では首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地として、東京都の特別区の存する区域及び武蔵野市の区域並びに三鷹市、横浜市、川崎市及び川口市の区域のうち別表に掲げる区域を除く区域と規定され、横浜市と川崎市が上記1.で政令指定都市の一つに該当するため、以下の自治体が2.の首都圏整備法対象自治体として事業所税の課税自治体となります。
    東京特別区(23区) 武蔵野市 三鷹市 川口市 
    一方、近畿圏整備法第2条では近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域として、大阪市の区域、別表に掲げる都市内の指定区域と規定され、対象となる自治体のうち大阪市、京都市、神戸市、堺市が上記1.で政令指定都市の一つに該当するため、以下の自治体が2.近畿圏整備法対象自治体として事業所税の課税自治体となります。
    守口市 布施市(現:東大阪市) 尼崎市 西宮市 芦屋市
    3.の都市は国勢調査の結果に基づき人口が30万人以上の都市が指定されています。ブログ更新時点では2020年(令和2年)10月1日時点のものが適用され、以下の都市が課税しています。

    宇都宮市 金沢市 岐阜市 姫路市 鹿児島市 秋田市 郡山市 和歌山市 長崎市 大分市 豊田市 福山市 高知市 宮崎市 いわき市 長野市 豊橋市 高松市 旭川市 松山市 横須賀市 奈良市 倉敷市 川越市 船橋市 岡崎市 高槻市 富山市 柏市 久留米市 前橋市 大津市 高崎市 豊中市 那覇市 枚方市 八王子市 越谷市 佐世保市 明石市 吹田市 一宮市 所沢市 市川市 松戸市 町田市 藤沢市 春日井市 四日市市 

    いずれの都市も政令の改正や2025年(令和7年)10月1日時点での国勢調査の結果次第では課税自治体が変わる可能性がありますので十分に注視する必要があります。

     

    うちの床面積・従業者数ではかかる?

    従業員数と事業所面積でそれぞれに税率を掛けた金額の合計が事業所税額となるとお話ししましたが、ここからは税金の計算について具体的にお話しします。該当する自治体に事業所があるからといって必ずしも事業所税が課税され全ての事業所に恩恵がありますが、特に大きな企業にとっては恩恵が大きくなります。そこで事業所税には免税点が設けられており、従業員数基準(地方税法では従業者割といいます)では一自治体にある事業所の総従業員数が100人以下、事業所面積基準(地方税法では資産割といいます)では一自治体にある事業所の総従業員数が1,000㎡以下ですと免税されます。2つの基準は切り離して判定し、従業員数基準が免税点以下であれば従業者割が、事業所面積基準が免税点以下であれば資産割がそれぞれ免税になります。
    従業員数基準での税額計算は一自治体にある事業所に属する従業員への給与支給額×0.25%、事業所面積基準での税額計算は一自治体にある事業所に属する面積(㎡単位)×600円となっています。ここでいう従業員には役員が含まれ、給与支給額にも役員報酬や賞与を含みます。また、従業員についても給与だけでなく賞与に該当するものを含みます。

     

    いくら人がいても広くても事業所税がかからない!?

    事業所税について免税点も含めて取り上げましたが、公共性への配慮や産業促進などの理由から事業所税が非課税になる場合があります。主なものとしては、

    • 国や自治体の事業所
    • 公益法人等
    • 教育文化施設
    • 公衆浴場
    • 農林漁業生産施設
    • 卸売市場
    • 電気事業用施設
    • ガス事業用施設
    • 中小企業集積活性化施設
    • 路外駐車場
    • 駐輪場
    • 消防防災施設

    があります。また、協同組合や学校、宿泊施設などは税額控除割合が設定されており事業税額が軽減されます。演劇施設や自動車教習所などは減免の形で事業所税が軽減されています。
    非課税と減免の違いについては次項目でお話しします。

     

    税金がかからないのに申告が必要なの?

    事業所税は申告納税方式を採用しているため、免税点を超える事業所面積や従業員数を有し事業所税がかかる自治体には当然申告を行う必要があります。一方免税点以下になっている場合でも地方税法第701条の46第3項に「指定都市等の長は、事業所等において事業を行う法人で各事業年度について納付すべき事業所税額がないものに、当該指定都市等の条例の定めるところにより、第1項の規定に準じて申告書を提出させることができる」と規定され、各課税自治体が条例を根拠に申告を求めることができるとされています。この申告を「免税点以下申告」と呼んだりします。
    免税点以下申告は各自治体の条例に基づくため自治体によって要申告基準が異なります。例えば当事務所のある札幌市ですと、市内にある事業所の総床面積が800㎡以上または総従業員数が80人以上の場合は納税義務がなくても申告が必要とされています(札幌市税条例第125条第3項、札幌市税規則第46条)。同じく北海道にある課税自治体ですと旭川市も札幌市と同じく市内にある事業所の総床面積が800㎡以上または総従業員数が80人以上の場合は免税点申告が必要です(旭川市税条例第146条第3項、旭川市税条例施行規則第6条)。多くの課税自治体が同じ基準で免税点以下申告を求めていますが、例として仙台市ですと市内にある事業所の総床面積が700㎡以上または総従業員数が70人以上、もしくは前年度課税対象事業者の場合免税点申告が必要です(仙台市市税条例第61条第3項、仙台市市税条例施行規則第13条の3)。
    なお、先ほどの項目で非課税と減免がありましたが、非課税の場合は課税対象となる事業面積及び従業員数から除外して要申告基準を判定しますが、減免の場合は課税対象にいったん含めて要申告基準を判定し、別途減免申請を行う点が異なります。

     

    おわりに

    今回は事業所税について概要と特に注意が必要な点を取り上げました。事業所税は都市整備の目的税とされ指定された都市のみが課税できる税金ですが、事務所のある札幌市の場合事業所税の収入額約89.1億円(令和5年度決算額)が下記の事業に関する費用等にあてられているとされています(札幌市HP|事業所税より)。

    • 道路等の整備事業 約13.5億円
    • 公園等の整備事業 約2.2億円
    • 上下水道等の整備事業 約1.0億円
    • 学校、図書館等の整備事業 約12.2億円
    • 病院、社会福祉施設等の整備事業 約6.2億円

    特定目的の税金の使い道についてはよく理解しておくと課税の意義がよくわかります。もし、人口が30万人を下回るなどして事業所税が課税できなくなると公共施設と整備費用をほかの税金や交付金、公債などで充当することになり自治体が都市基盤を維持するハードルが高くなります。事業所税のあり方は一度議論をしてもよいかもしれません。
     

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