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地方税解説シリーズ④(事業税)|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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地方税解説シリーズ④(事業税)|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

2025/06/27

目次

    はじめに

    地方税解説シリーズ第4回目は事業税について取り上げます。事業税は都道府県が課税する税金で個人事業主に課税される個人事業税と法人に課税される法人事業税があります。事業税の課税対象は企業の内容に応じて複数の種類があります。今回は課税対象を中心に事業税の重要な論点を取り上げます。
    なお、各回のテーマは以下の通りです。
    第1回 地方税の種類
    第2回 個人所得課税
    第3回 法人所得課税
    第4回 事業税(今回)
    第5回 不動産課税
    第6回 自動車課税
    第7回 事業所税
    第8回 その他の地方税
    第9回 法定外税
    第10回 国民健康保険
    番外編 宿泊税

     

    個人事業税の課税対象、課税方法

    始めに個人事業税について解説します。個人事業税は事業を営んでいる(事業所得がある)個人に対して課税されます。ただし、医業、歯科医師業、薬剤師業、あん摩、マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復業を営む個人の社会診療報酬に係る所得は非課税となり、非課税対象者については必要な届け出を事業を営む都道府県の都道府県税事務所に行います。
    税額の計算及び賦課は事業税申告書のほか、税務署に所得税の確定申告書を提出した場合や市町村に個人住民税の確定申告書を提出した場合は提出された申告書を基に都道府県税事務所が行います。事業税申告書を提出する場合の申告期限は、所得税や個人住民税の新子と同様に1月1日から12月31日までの期間の所得について翌年3月15日までに行います。ただし、年の途中で事業を廃止した場合は廃止日後1か月以内、死亡した場合は死亡後4か月以内に申告します。
    納税時期は毎年8月末と11月末で、納税した個人事業税は所得税や個人住民税の場合と異なり所得計算において納税した年の必要経費に算入できます。

     

    個人事業税の税額計算

    次に個人事業税の税額計算についていくつかポイントをあげます。
    個人事業税は、所得×税率ー税額控除で計算します。所得については290万円定額の事業主控除があり、年間の事業所得(青色所得控除適用前)が290万円以内ですと免税となります。また、所得税の青色申告者の場合事業所得における赤字が生じた年の損失及び事業用資産の譲渡損失は向こう3年間の所得と順次控除することができます。所得税にある青色専従者給与控除は個人事業税においても適用できます。
    税率は事業により異なり当事務所のある北海道の場合は以下の通りです。

    • 第一種事業(物品販売業、不動産貸付業、製造業、運送業、駐車場業、請負業、飲食店業など):5%
    • 第二種事業(畜産業、水産業、薪炭製造業 (主として自家労力を用いて行うものを除く。)):4%
    • 第三種事業の大部分(医業、歯科医業、弁護士業、司法書士業、税理士業、コンサルタント業、理・美容業など):5%、
    • 第三種事業のうちあん摩・はり・きゅう・柔道整復等の業、装蹄師業:3%
       

    法人事業税の課税対象

    ここからは法人に対する事業税について取り上げます。法人事業税は法人の活動に対してかかるという意味では第3回で取り上げた法人住民税(都道府県民税及び市町村民税)と似ており二重課税ではないのかとお思いの方もいらっしゃると思います。ですが、法人住民税と事業税は以下の点で異なります。(引用:総務省HP|法人住民税と法人事業税

    1. 法人住民税は地域社会の一構成員としての法人自体に対して課されるのに対して、法人事業税は法人が行う事業に対して課されます。
    2. 法人住民税は都道府県・市町村のそれぞれに納める税であるのに対して、法人事業税は都道府県に納める税です。
    3. 法人住民税は従業者数のみが基準であるのに対して、法人事業税は業種の特徴を考慮して、従業者数のほかに様々な基準が設けられています。

    以上の違いは、法人住民税は地域住民の一員として課税され、広く地方自治体の行政サービスやインフラ整備の財源となる一方、法人事業税は事業者として課税され、事業運営に必要な行政サービスやインフラの整備の経費負担としての性格があります。
    このため、法人事業税は課税対象が事業や規模により異なります。多くの法人では法人税同様に法人所得に税率をかけて事業税が決まります(所得割)が、以下の場合は異なる基準が適用されます。

    • 資本金1億円超の普通法人:所得割+外形標準課税(付加価値割+資本割)
    • 電気供給業(小売電気事業等・発電事業等を除く)、ガス供給業(導管事業)、保険業を営む法人:収入割
    • 電気供給業(小売電気事業等・発電事業等)を営む資本金1億円超の普通法人及びガス供給業(特定ガス供給業)を営む法人:収入割+外形標準課税(付加価値割+資本割)
    • 電気供給業(小売電気事業等・発電事業等)を営む資本金1億円以下の普通法人等:収入割+所得割
      詳細な計算方法については次項以降で取り上げます。

       

    所得割の計算

    詳細な計算方法についてまず多くの法人で適用される所得割について取り上げます。
    法人事業税の課税所得は原則として法人税の課税所得と一致しますが、主に以下の点が法人税の所得計算と異なります。

    1. 欠損金(赤字)が発生した場合の扱い:法人税では過年度納税額の繰り戻しの形で欠損金を取り崩しできる一方、法人事業税では翌年度以降の黒字との相殺でのみ欠損金の取り崩しをします。ただし、青色申告に基づかない欠損金(災害関連の場合を除く)は発生年度で切り捨てになりますのでご注意ください。
    2. 受取利子及び配当から控除された源泉所得税の取り扱い:法人税では源泉所得税について申告加算せず損金(経費)計上のままで構いませんが、法人事業税では全ての源泉控除所得税を所得に加算します。特に配当金に関する法人税額控除対象外の源泉所得税が生じる場合、法人税計算では控除対象外源泉所得税額は申告加算できないため特に注意が必要です。

    外国税額の取り扱い:法人税では外国法人所得税等について所得計算においては損金(経費)とせず外国税額控除で法人税額から控除する一方、法人事業税には外国税額控除制度が適用されず国外で得た所得に対応しない外国法人所得税等は損金(経費)に算入します。
    税率については法人の種別により異なり、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県の8つの都府県では標準税率よりも高い税率が適用される場合があるいわゆる不均一課税制度があります。
    各都道府県に分割する基準は、所得の1/2を従業員数、残りの1/2を事務所数で按分します。ただし、製造業は所得全額を従業員数のみで按分します。
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    外形標準課税の計算

    次に外形標準課税と呼ばれる付加価値割と資本割について計算方法を取り上げます。

    • 付加価値割={繰越欠損金控除前所得+報酬給与額(報酬・給与等+企業年金の掛金)+純支払利子(支払利息-受取利息)+純支払賃借料(支払賃借料-受取賃借料)-雇用安定控除}×付加価値割税率
    • 資本割=資本金等の額×資本割税率

    上記の式を見ると人件費や賃借物件が多い企業、資本金等が多い企業に高い事業税がかかることがわかります。このようなことから特に赤字転落した法人を中心に外形標準課税を回避するため資本金を1億円以下に減資し外形標準課税の対象外となるようにするケースがよくありました。そのため、令和6年度税制改正で2025年(令和7年)4月1日以降開始する事業年度において以下のすべての条件を満たす法人は資本金が1億円以下でも外形標準課税の対象になることになりました。

    • 2024年(令和6年)3月30日を含む事業年度の前事業年度から、最初事業年度の前事業年度までのいずれかの事業年度が外形標準課税の対象法人
    • 事業年度末日において、資本金が1億円以下
    • 事業年度末日において、払込資本の額(資本金+資本剰余金)が10億円超
      ただし、2024年(令和6年)3月30日を含む事業年度の前事業年度において外形標準課税の対象法人であっても2024年(令和6年)3月29日までに1億円以下まで減資し、2024年(令和6年)3月30日を含む事業年度において再増資をしないなどで外形標準課税の対象外になった場合は上記の外形標準課税対象から除外されます。

    なお、外形標準課税が適用される場合所得割に適用される税額は低く設定されています。 


    参考:東京都主税局HP|法人事業税に係る外形標準課税概要   
       東京都主税局HP|外形標準課税の対象法人の見直し及び中間申告義務判定に関する改正について 

     

    電気事業・ガス事業・保険業の税額計算

    ここからは電気事業・ガス事業・保険業に適用される収入割について取り上げます。電気事業、ガス事業、保険業は燃料費の変動や保険金の支払い等の要因で年によって利益つまり所得の変動が大きく事業に対する行政サービスの対価としての課税の目的が果たせない可能性があります。そこで、こうした事業では比較的安定している収入を基準に事業税が課税されます。
    計算式としては、収入割=収入額×収入割の税率と単純ですが、いくつか留意点があります。

    1. 収入は消費税抜きの額で算定します。
    2. 収入には売上のほか事業にかかわる収入が含まれますが、受取補助金、受取利息・配当金、固定資産や有価証券の売却収入、損害賠償金、税金還付金などは除外されます。また、電気小売事業における託送料金収入など別の事業者が収益すべき金額も除外されます。
       

    特別法人事業税

    事業税と似た名前の税金として「特別法人事業税」という税金があります。この税金は事業税とも関係があるためここで取り上げます。特別法人事業税は国税の一種ですが、申告及び納税は事業税と一緒に都道府県に行います。課税目的は事業税と同様に事業に必要な行政サービスやインフラの財源とするためであり、第3回法人所得課税の回で取り上げた「地方法人税」同様に地方における税収の偏りを是正するためいったん国が収入し、各都道府県の税収と支出状況を勘案して各都道府県に分配するものです。
    課税標準は事業税額であり、事業税額に所定の税率を掛けます。特別法人事業税の税率は事業税の課税対象により異なりますが国税であるため都道府県による違いはなく全国一律です。また、特別法人事業税の計算に使う事業税額は各都道府県別の実際の事業税率によるものではなく、地方税法に規定されている標準税率で計算した場合の事業税額でありこちらも都道府県別の分割による金額の違いの影響を受けることはありません。

     

    おわりに

    まとめ今回は事業税について個人事業税、法人事業税それぞれ取り上げました。
    最後に法人事業税の法人税計算における取り扱いについて触れます。法人事業税は課税標準の一部が所得になっているに過ぎず所得に対する課税を前提にした税金ではないため、法人税における課税所得計算においては実際に納付した事業年度に納付した金額を損金(経費)算入することができます。一方、事業税について還付を受けた場合課税所得計算において還付金が入金された事業年度に還付された金額を益金(収入)算入します。
    決算書上の利益と法人税の課税所得との相違で大企業に限らず中小企業においてもよく登場するのが事業税の納付・還付に関するものです。法人税の課税所得計算においては事業税の納付・還付の申告調整漏れや誤りがないよう注意いただきたいところです。

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