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地方税解説シリーズ③(法人所得課税)|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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地方税解説シリーズ③(法人所得課税)|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

2025/06/21

目次

    はじめに

    地方税解説シリーズ第3回目は法人所得課税について取り上げます。法人所得課税の主なものは法人都道府県民税、法人市町村民税、法人事業税ですが、法人事業税は特有の論点があること、また、所得以外に課税されるケースがあるため今回は住民税と通称される法人都道府県民税及び法人市町村民税について取り上げ、法人事業税は次回取り上げます。
    なお、各回のテーマは以下の通りです。
    第1回 地方税の種類
    第2回 個人所得課税
    第3回 法人所得課税(今回)
    第4回 事業税
    第5回 不動産課税
    第6回 自動車課税
    第7回 事業所税
    第8回 その他の地方税
    第9回 法定外税
    第10回 国民健康保険

    番外編 宿泊税
     

    法人都道府県民税、法人市町村民税の概要

    始めに法人都道府県民税と法人市町村民税の概要をまとめます。課税対象者は該当する市町村に恒久的施設(PE)といわれる事業拠点のある者で複数の都道府県、市町村に事業拠点がある場合はそれぞれの地方自治体から課税されます。課税対象は法人が定款や寄付行為等で定めた会計年度中に得た所得に対してかかった法人税の額で、原則として会計年度終了後2か月以内に事業拠点のある地方自治体に申告納税します。ただし、公益法人に該当する場合法人税は収益事業と呼ばれる営利事業から得た所得にのみ課税されるため法人都道府県民税と法人市町村民税も営利事業から得た所得に課税された所得税額に対してのみ課税されます。東京特別区(23区)内に拠点がある場合、法人市町村民税に該当する税金は都民税の一部として東京都が徴収します。
    原則所得課税ですが、個人住民税同様に均等割という定額の課税があり赤字でも税額が生じます。いずれも地方税法が定める上限の範囲内で条例により異なる税率及び均等割額を設定することができ、一部の地方自治体で標準よりも高い金額を条例で設定しています。
    次の項目で個別論点を取り上げます。

     

    内国法人と外国法人

    法人税の課税においては、日本の法律の施行地(日本国の領土内)に本社がある内国法人とそうではない外国法人の区分があり、内国法人は法人が全世界で得た所得に法人税が課税される一方、外国法人は日本国の領土内において得た所得にのみ法人税が課税されるという違いがあります。では、都道府県または市町村レベルでの課税である法人住民税の場合はどうなるのか説明します。
    法人住民税は法人税額を基に計算するため、内国法人は法人住民税も全世界所得課税で外国法人は日本源泉所得にのみ課税されます。ただし法人住民税は「住民、都道府県民、市町村民」とある通り拠点があることが前提となり、恒久的施設(PE)が該当する都道府県及び市町村にある場合にのみ該当する都道府県並びに市町村から課税されます。
    ここで論点になるのがPEとはどのような拠点を指すのかです。PEとは以下のものを指すとされています。

    1. 支店、工場その他事業を行う一定の場所
      Ⅰ支店、出張所その他の事業所若しくは事務所、工場又は倉庫(倉庫業者がその事業の用に供するものに限る。)
      Ⅱ鉱山、採石場その他の天然資源を採取する場所
      Ⅲその他事業を行う一定の場所でⅠ・Ⅱに掲げる場所に準ずるもの
    2. 建設作業場(外国法人が国内において建設作業等※を行う場所をいい、外国法人の国内における当該建設作業等を含む。)
      ※建設、据付け、組立てその他の作業又はその作業の指揮監督の役務の提供で一年を超えて行われるもの。
    3. 外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者
      Ⅰ外国法人のために、その事業に関し契約(資産を購入するための契約を除く。)を締結する権限を有し、かつ、これを継続的に又は反復して行使する者(その外国法人と同一又は類似の事業を営み、かつ、その事業の性質上欠くことができない必要に基づき契約の締結に係る業務を行う者を除く。)
      Ⅱ外国法人のために、顧客の通常の要求に応ずる程度の数量の資産を保管し、かつ、当該資産を顧客の要求に応じて引き渡す者
      Ⅲ専ら又は主として一の外国法人(その外国法人の主要な株主等その他その外国法人と特殊の関係のある者を含む。)のために、継続的に又は反復してに、その事業に関し契約を締結するための注文の取得、協議その他の行為のうちの重要な部分をする者


    参考:総務省HP|地方法人課税の概要
     

    収益事業とは

    法人税では内国法人の中でも公益法人については収益事業における所得にのみ課税されることになっており、繰り返しになりますが法人住民税は法人税額を基に計算するため、公益法人における法人住民税も収益事業における所得にのみ課税されます。ここで問題になるのが公益法人に対してどの地方自治体が課税できるのかです。国税である法人税は本社のある税務署に一括して申告納税するため特に問題になりませんが、複数の課税者が存在しうる法人住民税では重要な論点になります。
    この論点について地方税法では法人都道府県民税、法人市町村民税ともに収益事業を行う拠点のある地方自治体でのみ課税できるとされており、公益法人の拠点があっても公益事業のみ行っている拠点しかない地方自治体では課税できないことになっています。
    なお、公益法人に対しては原則として定額の均等割が非課税になっていますが、収益事業を行っている公益法人に対しては均等割が課税されることになっていますので申告及び納付漏れの無いよう注意が必要です。

     

    複数の地方自治体に事業拠点がある場合の税金計算

    先ほどから申し上げている通り法人都道府県民税と法人市町村民税は日本国内の複数の地方自治体に拠点がある場合拠点のある地方自治体全てから課税されます。では、各地方自治体への納税額はどのように計算するのでしょうか?
    簡潔に言うと、法人税額×年度末時点の該当地方自治体の拠点にいる従業員数/年度末時点の総従業員数×税率+均等割額で計算します。均等割の計算については注意すべき点が3つあります。

    1. 均等割額当てはめに使う資本金等の額及び従業員数は年度末時点で判定する
    2. 東京23区または政令指定都市の複数の区にある拠点がある場合は、区を一つの地方自治体とみてそれぞれの区に対して均等割額を計算する
    3. 年度途中に一つの地方自治体において拠点の新規設置または完全撤退があった場合は、拠点があった月数/12で月割りをする。月数について端数が生じた場合は切り捨てる。事業年度が12か月未満だった事業年度の場合も同様に計算する。
       

    赤字の場合の取り扱い

    ここでは赤字(税務上の用語としては欠損)が生じた場合の法人住民税の取り扱いについて説明します。
    法人住民税は法人税額に基づいて計算する法人税割と一定の定額部分である均等割がありますが、赤字になった場合法人税は0円となるため法人税割も0円となる一方、均等割は所得や法人税額に関係ないため必ずかかります。
    ここで問題になるのは法人税割について赤字が生じた場合何らかの特典があるのかどうかです。法人税には翌年度以降数年間において発生した所得と順次相殺できる繰越欠損金制度と中小法人等において前年度所得が発生した場合の税額の一部を還付してもらう繰り戻し還付制度があります。法人住民税においては繰越欠損金制度同様の制度があり翌年度以降数年間は法人税額が発生した場合その税額と相殺して後々の税額負担を軽減できます。一方、繰戻還付制度はなく法人税は還付を受けられても法人住民税は還付されませんので赤字が生じた場合は注意が必要です。

     

    休眠法人の取り扱い

    事業を休止している場合所得が生じることはありませんが、均等割制度がある地方住民税においては休眠状態でも課税されることになります。このままですと支払いをしないまま滞納が溜まるリスクがあります。そこで、法人住民税には休眠法人の均等割減免制度があります。通年で休眠状態になった年度から適用でき、拠点のある地方自治体にそれぞれ申請をします。
    なお、事業を再開した場合は再開した事業年度から均等割の課税も再開されます。事業を再開する際にも拠点のある地方自治体への届出を忘れないようご注意ください。

     

    おわりに

    今回は法人住民税を中心に法人所得課税について取り上げました。最後に「地方法人税」という税金についてお話します。地方法人税と聞くと地方税のように感じますが国税の一種です。2014年(平成26年)10月1日以後開始の事業年度から課税されている税金でそれまでは法人都道府県民税と法人市町村民税の税率に組み込まれていたものの一部を国税として振り替えたもので、地方自治体間の税収の偏在を是正する目的で一旦国税として収入された後財政状態に応じて地方自治体に配分されるものです。申告は法人税申告書の中で一括して行い、納税も法人税と同じ税務署に一括して納付します。また、法人税と同時に国税として申告するため中小法人等で赤字が生じた場合過去の納税額を繰り戻して還付を受けることもできます。
    名称が紛らわしいのですが、地方法人税について理解を深めてくださいますと幸いです。

     

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