公認会計士・税理士熊谷亘泰事務所

公認会計士の保証業務とは?

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公認会計士の保証業務とは?

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2025/01/10

目次

    はじめに

    新年あけましておめでとうございます。2025年(令和7年)、乙巳(きのとみ)の年を迎えました。ご覧の皆様におかれまして今年一年が実り多き一年になりますよう心よりご祈念申し上げます。重ねて本年も当事務所をよろしくお願い致します。
    公認会計士の独占業務は会計監査つまり決算書が適切な内容かどうかをチェックすることです。チェックといってもどの程度までチェックしているのかピンとこない方もいるのではないでしょうか?また、監査以外にも程度の違いでいくつか決算書のチェック業務があります。チェックの後報告を行い決算書に一定のお墨付きをすることからこうした決算書のチェックを「保証業務」と一括りにしています。
    そこで今回は公認会計士が行う「保証業務」についてどのような業務があるのか取り上げ、どのようなサービスを提供するのかご理解に資するとともに、決算書にお墨付きが欲しい、必要な場合に気軽にご検討する参考となることを目的としています。

     

    財務諸表監査

    はじめに公認会計士業務として古くからおこなわれている財務諸表監査について詳しく説明します。財務諸表つまり決算書が企業の実態を適切に示しているかどうかを第三者である公認会計士あるいは公認会計士の集団である監査法人がチェックし意見表明するものです。「意見表明」という言い方をするのは、決算書は単に事実を金額という数字を使って示したものではなく、決算書を作成した企業の事実に対する考え方が表されていると捉えているからです。
    監査では取引という事実に対して現物を確認したり、裏付けとなる書類と突き合わせたりします。例えば、現金や固定資産について監査人が実際に直接数えることがありますし、預金や売掛金(未回収の売上金)に対しては監査人が直接相手問い合わ
    先に金額をせることがあります。ただし、全ての取引についてこうした検証をすることは時間的に無理があります。また、決算書に対して意見表明するのは決算書の利用者が偽りの情報で判断を誤らないようにするのが目的であるため、間違っていたとしても判断を誤らせる程度でなければ大目に見る重要性という考え方があります。そのため、検証手続は金額が大きいものや複雑で間違いやすいものなどを中心に行います。
    決算書には企業の事実に対する考え方が表される代表的なものとして不良資産の損失計上があります。不良であるかどうかは捉え方つまり解釈の問題です。監査では解釈についても第三者から見て適切かどうか検証します。といっても解釈はその人々によって異なりますので、解釈の前提となる事実の把握を見落としていないか、また、解釈が現実的でなく企業の都合の良いようになっていいないかという観点で検証します。
    財務諸表監査は全てではないとしても重要な中身については正しいかどうか検証しますので、お墨付きとしてはかなり高いものとなります。

    内部統制監査

    財務諸表つまり決算書が適切な内容で作成されるためにはまず作成する企業自身の不正に対する自浄能力が欠かせません。自浄能力が不十分で不正が起こった企業では意図的に不正を起こすケースがあり、こうした企業ですと公認会計士監査でばれないように巧妙な取引をしていることがあります。そのため、公認会計士による財務諸表監査だけでは決算書の偽った記載を防ぐには限界があるのです。そこで、20年ほど前から内部統制つまり企業内部での不正を防ぎ、見つけて改善する体制についても整備され実際に運用されているかどうか検証する監査が導入されました。
    2000年のエンロン事件を受けて最初に導入されたアメリカでは、対象企業の内部統制の整備と運用について公認会計士または監査法人が直接検証するダイレクトレポーティングという方法が取り入れられました。一方、2005年ごろの不正問題を発端に導入した日本では、公認会計士側の負担軽減の観点から企業の内部監査部門等が自社の内部統制の整備と運用について監査し、公認会計士や監査法人は内部監査部門等の内部統制監査が適切に行われているかどうかを検証する間接的なアプローチで行われています。
    内部統制監査での「意見表明」は内部統制が、企業内部で決算書の誤りを防止し適時に発見して是正できるように整備され、かつ整備通りに実際の業務で運用されているかどうかについて行います。言い換えますと、不適正と意見表明されるのは実際に決算書に誤りがあるかどうかに関わらず、偽りや誤りが見逃されたままの決算書ができる可能性が高いほど企業内部での体制に欠陥があるという意見になります。
    内部統制監査報告書は財務諸表監査報告書と一緒に決算書に添付されます。財務諸表監査の意見は適切に企業の内容を示しているというものであっても、内部統制監査報告書で企業体制に欠陥があるとの意見が出ると企業はいい加減で信頼できないのではないかということが決算書の読み手に伝わる可能性があるのです。

     

    レビュー

    監査は取引や企業の業務プロセスについて詳しく検証するためお墨付きのレベルは高いですが、一方で作業時間もそれなりにかかり、報告書が出るまでに時間がかかり報酬も割高になります。例えば期中決算書は企業の途中経過を適時に開示することを目的としていますが、時間のかかる監査では適時性に欠けるところがあります。そこで、期中財務諸表に対してはお墨付きのレベルは低くなるものの報告書が出るまでの時間は短い「レビュー」と呼ばれる保証業務を受ければよいことになっています。
    レビューを監査との比較で説明しますと、監査が財務諸表(決算書)が「適正であるかどうか」を検証するのに対し、レビューは「適正ではない事項はないか」を検証します。同じことを言っているような説明ですので言い方を変えますと、監査では金額的に又は内容的に重要だとされる項目や取引については漏れなく証拠との突合せなどを行いますが、レビューでは企業を取り巻く内外の環境と前期決算・予算との推移などを照らしておかしいのではないかと思われる項目についてのみ詳細に証拠との突合せや突っ込んだ質問などを行います。そのため、よほどおかしいと思われない限り、実際に金額が合っているかどうか詳しくは見ないということです。
    一方でレビューは実施する監査人に企業を取り巻く内外の環境と前期決算・予算との推移などとを照らして決算内容がおかしくないかどうかを的確に判断する能力が求められ、監査以上に情報収集・分析能力と経験がモノをいう業務です。ですので、形式的に数字があっているかよりも実質的な内容を検討するのが中心となるため必ずしも作業品質は低くないのです。
    レビューを受けた財務諸表(決算書)はお墨付きのレベルは監査より低いもののそれなりに信頼性はあると理解いただけると思います。

     

    合意された手続

    監査とレビューについて取り上げましたが、レビューは監査よりは簡単な手続を行うと申し上げましたが、あくまでも決算書全体に対して行うため、例えば現金預金や借入金など決算書に記載されている科目どこか一部だけが何かしらの判断のために必要というニーズに対しては、過剰な品質であることは否めません。
    そこで、一部の科目だけにお墨付きを与える会計士の保証業務として「合意された手続(AUP)」というものがあります。合意されたとある通り、会計士が実施する手続は決算書作成者と契約時にあらかじめ取り決め合意します。そして、会計士は取り決めた手続のみ実施して報告書では実施結果を具体的に報告します。保証としては監査やレビューと異なり事前に取り決められた範囲に限られますが、一部の科目だけ適切かどうかのお墨付きが欲しい場合には合理的な保証業務です。
    合意された手続が利用されるケースの代表的なものとして、派遣業や職業紹介業の更新申請時に期中決算書で申請する場合が挙げられます。これらの申請においては決算書を申請書類として提出しますが、提出する理由は現金預金残高、資産負債比率など更新要件となる事項の確認のためであり、関係する科目だけお墨付きがあれば十分なのです。そのため、新規登録時に期中決算書で申請する場合には実績がなく慎重に審査する趣旨から監査を受ける必要がある一方、更新時には作業時間やコスト軽減の観点から合意された手続による会計士の保証で十分としているのです。

     

    おわりに

    今回は公認会計士が決算にお墨付きを与える業務である保証業務についてどのようなものがあるのかお話ししました。実際に行われる保証業務の大部分は監査であり、しかも金融証券取引法や会社法などの法律で義務付けられているものがほとんどです。しかしながら、法律上監査を受ける必要がなくても何かしらの申請や証拠出しのために決算書に信頼できるお墨付きが欲しいというニーズはあり、ニーズに合わせて様々な保証業務を提供しております。決算書にお墨付きが欲しいというご要望がありましたら、下のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
    なお、税理士は税金の申告書に添付書面と呼ばれる申告内容や決算内容に関する意見や検討事項などについて意見を述べる書面を添付することがあります。会計士がチェックだけを行い決算の作成には一切携わらない保証業務とは異なり、書面の添付の場合税理士が申告書の作成に携わるため保証力は劣りますが、第三者的に企業の状況について記述するため一定の保証にはなるとされています。
    当事務所でも税務顧問を提供しているお客様のうち、特に内容が精査できた企業の申告書及び決算書には上記の書面を添付し、お客様の決算や申告内容の正確性と透明性の高さを示しております。

     

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