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免税店における輸出免税

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2024/12/13

目次

    はじめに

    2024年はコロナウイルス感染症による移動制限もなく円安傾向であることからインバウンド客が回復しています。インバウンド客がお土産などを買うと免税対象店舗で購入しますが、具体的に何が免税になりどのような仕組みになっているのか気になる方もいるのではないでしょうか?
    そこで今回は免税制度について解説します。

     

    免税店における輸出免税の概要

    はじめにここでいう免税とは何を指すのか具体的に申し上げますと、消費税が免税されるという意味です。消費税は日本国内での消費に対して販売額の10%(飲食料品の譲渡は8%の軽減税率)の税金をかけるものですが、外国から来た人が日本国内で物品を購入し国外へ持ち出して外国で消費される場合、通常レジ等での精算時に消費税を取られますが結果として日本国内で消費されないため消費税が免除されることになります。そのため、外国に持ち出す場合購入時に免税対象とすることをお店で申請します。申請といってもどのお店でもできるわけではなく、免税にした状況を税務当局が正確に把握できるよう、免税の取扱いをするお店は所轄の税務署に免税販売所許可を受ける必要があります。つまり、実際には日本国内で消費される可能性があるにもかかわらず免税にすることにして客に販売して消費税逃れを防止しているのです。
    申請に当たっては、輸出物品販売場許可申請書に以下の書類を添付して所轄の税務署に免税販売場許可を申請します。

     

    • 許可を受けようとする販売場の見取図
    • 社内の免税販売マニュアル
    • 申請者の事業内容が分かるもの(会社案内、ホームページ掲載情報があればホームページアドレス)
    • 許可を受けようとする販売場の取扱商品(主なもの)が分かるもの(一覧表など)

    申請後所轄の税務署では以下の点を審査して許可の是非を決定します。

    1. [1]次のイ及びロの要件を満たす事業者(消費税の課税事業者(※)に限る。)が経営する販売場であること
      イ:現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る。)がないこと。
      ロ:輸出物品現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る。)がないこと。
    2. 現に非居住者の利用する場所又は非居住者の利用が見込まれる場所に所在する販売場であること。
    3. 免税販売手続に必要な人員を配置し、かつ、免税販売手続を行うための設備を有する販売場であること。

    上記の申請は事業者単位ではなく販売場(店舗)ごとに行う必要がありますが、提出先は事業者の納税地を所轄する税務署1か所となっています。
    こうして免税販売場許可がされると正式に免税販売ができるようになります。


    観光庁HP|免税店になるには
    国税庁HP|一般型輸出物品販売場許可申請手続
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    新しい免税手続

    免税店許可を受けたお店に入って実際にどのように免税手続を行うのでしょうか?何か申請書を使って描くのかと思う方もいらっしゃるかと思いますが、手続のペーパレス化と国税当局による迅速な免税申請捕捉のため、2021年(令和3年)10月1日以降従来の紙による免税販売はできなくなり、国税庁が承認した免税申請システムによる電子申請が義務化されています。
    免税店での免税販売の流れは以下の通りです。

    1. 旅券(パスポート)等の提示を受けます。
    2. 非居住者であることを確認します。
    3. 必要事項を説明します。
    4. 免税対象物品の引渡しをします。

    引渡後、免税店舗では以下の手続を行います。

    1. 国税庁へ購入記録情報を送信します。
    2. 購入記録情報を保存します(約7年)。

    従来の紙の書面での手続ですと、パスポートに「購入記録票」という紙を割印を押して貼付する必要がありましたが、電子化後はその必要が無くなり販売時の手続き時間及び負担が軽減されました。ただし、出国検査までに開封されることを防止すると共に、出国検査時に品目と数量がわかるように包装することが求められています。

    観光庁HP|免税店になったら

    国税庁HP|免税販売手続の電子化の概要
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    日本出国時の手続

    消費税免税は日本国外での消費を前提にした制度であるため、当然日本出国時に国際空港や国際港にある税関で免税で購入した商品が国外持出品として間違いなくあることを確認する一方、輸出禁止品が含まれていないことを確認する検査を受けることになります。
    従来の紙による手続ではパスポート等に貼り付けられた「購入記録票」と現品を照合し「購入記録票」を税関に提出していましたが、電子化された現在はパスポートを呈示し所定の包装がされた現品を確認する形になりました。免税登録されているかどうかは国税庁が管理する免税申請一覧データを照会する形になっています。
    なお、輸出禁止品については以下のリンクの税関ホームページに掲載されていますのでご参照ください。
    https://www.customs.go.jp/mizugiwa/kinshi.htm

     

    不正免税対策の税制改正

    令和6年税制改正では、特にアジア圏から日本に居住する人を中心に免税申請済品と知りながら日本国内で転売し免税特典を不正に受ける事例が多発していたことから、免税申請済み品を日本国内で仕入れた場合、当該仕入品について消費税の仕入税額控除を否認する規定が明記されました。本来免税申請済品を日本国内で転売した場合、転売者から不正に免れた消費税を追徴すべきなのですが、こうした不正は件数が多く摘発しようとする時点で既に国外に出国し追徴が困難なケースがあるため、転売された商品を購入した人から消費税を徴収する形になりました。
    特に免税不正が多い事例はフリマサイトやアプリを通した古物取引とSNSによる買い子バイト募集がある取引です。
    免税不正商品を仕入れて消費税を追徴されることを防止するためには、

    • 本人確認を行う
    • 物品の調達先など取引内容について相手先に確認し記録を残す
    • 現金決済ではなく口座振込による決済を依頼する
    • 場合によっては仕入取引を中止する

    とされています。
    なお、フリマサイト・アプリや古物商からの仕入については、消費税仕入税額控除を受ける際、仕入先が適格請求書発行事業者(インボイスを発行する義務がある業者)でない限りインボイスの入手は不要とされている特例がありますが、免税不正品の仕入と判明した場合はインボイス発行を相手先に請求して入手できない限り消費税仕入税額控除を受けることができないとされていますので、併せてご留意願います。

    国税庁HP|免税購入品と知りながら行った課税仕入れに係る仕入税額控除の制限

     

    おわりに

    今回は日本国内での免税の仕組みについて解説しました。免税販売は消費税と類似する税金を導入している国においては貴重な外貨獲得源になりますが、その一方で不特定多数の外国人来訪者が利用するため不正な利用が起こりやすい制度でもあります。また、免税申請した商品を日本国内で消費した場合に本来購入者から徴収すべき消費税の徴税逃れ対策がほとんど手付かずな現状があります。
    海外から来た人にとって現地の税制をよく理解していないケースも多いため、旅行前に免税制度に関する理解ができるよう多くの日本旅行照会サイトで周知する、また、入国手続フロアなどで日本の免税制度についてあらかじめ周知するなど、外国人観光客の免税制度の機会を逃さないようにする一方、不正な免税制度利用を未然に防止する対策が必要でしょう。

     

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