【令和6年8月リライト】日本国外へ出国する際の確定申告|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!
2024/08/17
目次
はじめに
日本を離れて海外に赴任したり、生活拠点を移したりする方もいらっしゃるでしょう。もし海外赴任や転居、留学などで日本を出国する場合、出国するまでに確定申告と納税が必要になります。以下、日本から出国する際の申告及び納税に関して詳しく説明します。
(Notice: I uploded English version of this article separately. Please click here to go to English version.)
出国時の確定申告
もし日本を出国することを計画している場合、出国目的が海外旅行や短期赴任など一時的である場合を除き、1月1日から出国日までの期間の所得について出国前に確定申告をしなければなりません(通常の確定申告期限と異なることからこの確定申告のことを「準確定申告」といいます。)。ただし、必ずしも出国時までに申告と納税をしなければならないわけではありません。どのようにすればよいかについては次の項目以降で触れます。
確定申告の対象となる税目は所得税です。もし、多額の源泉徴収をされているなどの理由により還付が生じる場合も、出国前に確定申告をすることで還付金を受けることができます。一方、1月1日から出国日までの所得が2000万円以内の給与のみであった場合、確定申告の必要はありません。
出国時の納税
日本を出国するまでに所得税を税務署、金融機関またはコンビニで納税する必要があります。納税通知書により納税額が通知された住民税(都道府県民税、市町村民税)その他の税金も出国までに納税する必要があります。
でも、出国日までに納税通知書が届かなったり、納税資金を準備できなかったりすることがあります。もし、出国後に納税する必要が生じる場合は、出国前に「納税管理人」という日本国内での税務事務代理人を選任する必要があります。納税管理人の役割は以下の通りです。
- 納税者に代わって納税又は還付金の受取りを行うこと
- 納税通知書その他税務署などからの税金関連の通知を受取ること
- 確定申告書その他税務署などへの届出書を提出すること
納税管理人選任に当たっては、出国する前に出国前の住所地を管轄する税務署や市役所などに納税管理人の届出書を提出しなければなりません。納税管理人の届出書は所得税・消費税など国税に関しては税務署、市町村民税・固定資産税など地方税に関しては市役所などにそれぞれ提出します。納税管理人となることができる人は日本国内で親しい間柄の人や勤め先の会社などですが、申告書の作成や税務相談を伴う場合は税理士の独占業務であるため税理士または税理士法人を納税管理人として選任することになります。
なお、出国前までにすべての納税を済ませ、出国後に日本で課税される税金がない場合は納税管理人の選任は不要です。
万が一納税や申告を失念したときは
万が一、出国前に申告や納税を失念したときは、申告手続きと納税手続を出国前に選任した納税管理人に依頼しましょう。ただし、出国後にクレジットカード納付をする場合は納税管理人を通すことなく本人が直接手続することができます。出国前に納税管理人を選任しなかった場合、未払いの税金は滞納とみなされ、日本出国後に日本の税務当局または引越先の国の税務当局から督促を受けることがあります。滞納状態となるのを避けるため、出国前の住所地を管轄する税務署は出国日後60日以内に、出国前に納税管理人を選任しなかった人に対して納税管理人を選任するよう通知することができるようになっています。
なお、一度納税管理人を選任し税務署などに届出をすると、納税管理人が日本国内で本人に代わって税務事務を行うことができるため、出国前とされていた申告期限及び納期は日本国内在住の納税者と同じ原則的な期限になります。
出国後も日本国内での所得がある場合
日本出国後(一時的な出国を除く)も日本国内源泉の所得が生じる場合、生じた所得について申告書を作成し日本の税務署に申告する義務があります。ですが、海外に居住されている方がご自身で日本の申告書を作成し提出することは大変困難なことです。そのため、納税及び申告書提出の事務を納税管理人に依頼することになり、申告書の作成に関しては日本の税理士に依頼することになります。また、海外の預金口座から直接日本の税金を納税することはできませんが、先述の通りクレジットカード納付は出国後であってもインターネット環境があればできます。
なお、日本に居住していない人に課税される所得の例は以下の通りです。
- 日本国内で発行された有価証券に関する利息や配当、売却益
- 日本国内にある不動産から生じる賃貸料収入や譲渡益
- 日本国内での勤務に対する給与
- 日本で展開している事業の所得
今回は、日本を離れるとき、また、海外に居住している間日本で課税されるケースについて説明しました。今回は取り上げませんでしたが、海外に居住すると日本と現地双方から課税されるいわゆる国際的二重課税の問題がよく出ます。この二重課税の問題を回避するため、いくつかの国との二国間で租税条約が締結されています。例えば、給与や事業所得に関して物や役務を提供した国でのみ課税されるといった事項が租税条約に盛り込まれています。租税条約については相手国との二国間関係に影響されるため、締結相手国により内容が異なっています。そのため、国際的二重課税についてブログで一概に説明することが難しく、国際的課税に関して相談されたい方は個別に相談を承ります。ホームページ下部の「お問い合わせはこちら」をクリックしてお問い合わせフォームからお問い合わせください。