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申告後誤りがわかったらどうする?|札幌で税理士・公認会計士に無料相談ご希望の方は熊谷亘泰事務所へ!

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2024/04/01

目次

    はじめに

    所得税の確定申告期限が3月15日に迎えました。申告が必要だけど期限に間に合わなかった、あるいは、申告後間違いに気づいたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は特に申告後間違いに気づいた場合に行う修正申告と更正の請求という手続を中心に申告期限を過ぎてから申告をする場合の申告対応について取り上げます。
    この記事を確認して万が一期限を過ぎてもあわてることがないようにしてくださいますと幸いです。


     

    修正申告とは

    確定申告後間違いに気づき再計算した結果税金が増える場合はできるだけ早く修正し不足している税額を申告して納税することになります。この申告を「修正申告」(国税通則法第19条)といいます。修正申告は自主的に納税不足を申告する制度であることから申告納税をもって納税額が改めて確定することになります。
    修正申告は納税者や担当の税理士などが間違いに気づいた場合に行うこともありますし、事後的な税務調査で納税額不足を調査官から指摘された場合に修正申告による不足額確定を勧めるケースがあります。修正申告による納税不足額に対しては当初の申告期限の日の翌日から納税日までの期間に対応する延滞税が加算され、納税遅れに対する利息相当が課税されます。延滞税率は毎年市場利率の動向によって変わり令和6年(2024年)中に納期限を迎える税金においては、申告期限後2か月以内の期間に関しては年2.4%、2か月を超える期間に関しては年8.7%かかります。
    なお、税務調査による納税不足の指摘に対して修正申告をする場合は納税不足額に対して10%の過少申告加算税が追徴されます。

     

    更正とは

    確定申告後間違いに気づき再計算した結果税金が増える場合は自発的に修正できますが、税金が減る場合も自発的に修正できるのでしょうか?答えはNOです。なぜなら、納税者が意図的に税金を減らすことは納税者自身さえ得になればよいとズルをすることがあるからです。代わりに税務当局側が税額の変更を決定する「更正」という行政処分により減額が認められる形になります。
    では、税金の減額は納税者の意見や要望を聞くことなく税務当局の判断だけで決まるのでしょうか?こちらも答えはNOです。申告による納税という納税者自身の自発的な意思を尊重した納税制度がある以上、納税者は正当な税金の減額を税務当局に求めることができます。この求めを「更正の請求」と言います。実際には各税目ごとに「更正の請求書」というものがあり、税額が変わる理由、変動額を記載し必要な根拠資料を添付(もしくは後日送付)して税務当局に提出します。税務当局は更正の請求書と根拠資料を受領すると内容を確認し請求内容は正当であると判断すると更正決定処分を下します。このプロセスにより減額される税金が還付されます。
    更正の請求は法律上の権利であるため時効が設けられており申告期限から5年を経過する日までとされています。ですので、間違いに気づき税金が減る場合は必要な根拠資料をそろえて早めに更正の請求手続をするようにしましょう。更正の請求から還付までの期間は請求の内容により異なりますが、最低でも1か月はかかると考えてください。
    なお、更正は税金の減額に限定される行政処分ではないため、例えば税務調査で税金の不足を指摘された場合で不足となった理由に不服がある場合は前述の修正申告ですと自発的修正の形となり国税不服審判や訴訟を起こすことができなくなるため、一旦更正の請求手続により不足分の税額変更について税務当局の決定を仰ぐ形にして国税不服審判や訴訟を提起します。

     

    期限を過ぎて申告できるのか?

    ここまではいったん期限内に申告を済ませた後で申告内容の誤りに気付いた場合に取りうる手続についてお話ししました。お読みになっている方の中には実は申告が必要だけどもう期限を過ぎていたという方もいるのではないでしょうか。
    では、申告期限を過ぎると申告ができず税務当局からの指摘がなければ何もしなくてよいのでしょうか?答えはNOです。申告期限を過ぎても申告をすることは可能です。この場合の申告を「期限後申告」(国税通則法第18条)といいます。申告書は通常の期限内申告と同じものを使います。申告し実際に税金を納める期限は期限内の申告ですと申告期限の日までですが、期限後の場合はそもそも期限を過ぎているため申告日までと定められています。
    申告に期限が設けられている理由は早めの対応により納税者と税務当局双方が円滑に申告と納税の作業に対応できるようにするとともに税金逃れを防止するためですから、期限後申告にはいくつかのペナルティがありますので、申告と納税は期限内に間に合わせるように事前の段取りを心掛けましょう。以下ペナルティの主なものを列挙します。

    1. 無申告加算税の追徴(自発的申告の場合税額の10%、税務調査等の指摘による場合税額の15%)
    2. 申告期限から納税日までの期間に対応する延滞税の追徴
    3. 青色申告認定の取消し(所得税における特別控除や赤字の繰り越しなどができなくなります)
    4. 各種税額控除の適用不可(税額控除制度の多くは期限内申告が要件となっています)

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    やむを得ず申告期限に間に合わない場合は

    期限後申告にはそれなりのペナルティがあると申し上げましたが、地震などの災害や長期入院などでやむを得ず申告作業にかかれず申告期限までに申告書が提出できない場合にまで上記で列挙したペナルティが課されることは公共的道義や被災者支援の観点から見てあまりに不合理です。そこで、甚大な災害が発生した場合には個別に災害と対象地域と対象期間を国税庁が認定し申告期限を過ぎても上記のペナルティが課されないようになっています。
    例えば、令和6年能登半島地震の被災者に対しては石川県内または富山県内にある税務署の管轄地域に申告納税する場合、被災地の状況を考慮して当分の間期限を延長するとされています。また、納税地の管轄地域が石川県・富山県外であっても能登半島地震によって被害を受け申告や納税に時間を要する場合は所轄の税務署に被害のやんだ日から2か月以内に申告と個別申請をすることにより申告・納税期限の延長を申請することができるとされています。
    国税庁HP:令和6年能登半島地震に関するお知らせ

     

    おわりに

    今回は「申告後誤りがわかったらどうする?」のテーマで申告後に税金計算の誤りがわかった場合や申告期限後の申告の場合についてお話ししました。誤りが判明したらできるだけ自主的に修正申告または更正の請求書するようにしましょう。税務調査が入り指摘されることもありますが、自主的な修正のほうが追徴額が少なくて済みます。
    また、災害や長期入院など物理的に申告期限に間に合わない状況にある場合は申告期限に間に合わないと焦ることなく延長申請できるかどうか国税庁ホームページでの確認や税務署への相談をしてください。税務当局は想像ほど機械的で冷たい対応はしません。
    このブログをアップした3月下旬は確定申告期間終了後の修正や申告の相談が何件がありますが、このブログ記事を参考に対応をご検討いただき対応に関して不明点や相談がありましたら、下の「お問い合わせはこちら」よりお気軽にお問い合わせください。

     

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